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南北首脳会談 識者インタビュー 我部政明氏(国際政治学者、琉大教授) 終戦と非核化の分離焦点

南北首脳会談の影響や今後の見方を語る我部政明教授=27日、西原町の琉球大学

 北朝鮮と韓国による27日の南北首脳会談で両国首脳は朝鮮半島の非核化を宣言した。会談に対する見方や沖縄の米軍基地への影響について国際政治学者の我部政明琉球大教授に聞いた。

 ―南北対話を機に朝鮮半島の緊張緩和は進むか。

 「原則的な部分で折り合っても実行に移すとなると、微妙な問題について一つ一つ逆戻りしない合意を作っていく手続きには専門的な知識が必要だ。話し合いはまだ時間がかかるだろうし、容易ではない。特にこれまでの交渉で裏切られてきた米国内には悲観的な厳しい意見が多い。現時点では互いに信頼関係がないので、まずは接触することが大事になり、対話のチャンネルを置いて必要な時に対話ができるところまで持っていかないといけない」

 ―朝鮮半島の非核化や朝鮮戦争の終戦を目指すとした。

 「今後の交渉のプロセスで、朝鮮戦争の終結と非核化を切り離せるかどうかがポイントになるのではないか。二つがリンクしていると、どちらかが駄目になると両方が実現しない。切り離しが可能なら、手順の切り替えができる。非核化の作業が難航するならば、朝鮮戦争の終結を先に進めることで、そのことが非核化を進めることになる」

 ―朝鮮戦争と同時期にサンフランシスコ講和条約が発効し、沖縄は施政権が切り離され米軍基地集中が進んだ。朝鮮戦争の終結目標などが沖縄の米軍基地に与える影響は。

 「1953年の朝鮮戦争の休戦協定以来、冷戦期には沖縄の米軍の存在は抑止としての効果はあった。しかし、冷戦が終わり軍事的な抑止力について柔軟性が出てきたにもかかわらず、沖縄の基地の規模を維持し続ける硬直した対応となっている。北朝鮮からすると核兵器を保有して米国と対等な話し合いを引きだそうと対抗してきた。地域の安全について外交の力が働いてこなかった」

 「朝鮮半島の安定化が進んだ場合には韓国に駐留する米軍基地は削減につながるだろうが、沖縄への駐留については半島情勢よりも日本の政治との関係が大きい。米軍が日本を守るために、今ある規模の基地は既に必要ないにもかかわらず、日本は米国なしではやっていけないという認識が日本にも米国にもあり、基地を置くことで米国が日本の政治を操作できる状態に置いている」

 「韓国も米国に依存しているが、南北の統一という民族のあるべき姿も求めるという難しさの中で外交をやっている。今回の交渉で日本がキーパーソンになれていないのも、韓国のようなジレンマがなく米国任せでいられる気楽さがある」(聞き手 与那嶺松一郎)