沖縄奨学金に高校推薦枠 内閣府 専門に進学、学科問わず


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 【東京】内閣府が2018年度予算で新設した観光や情報通信分野の専門学校生に対する沖縄独自の給付型奨学金制度(返済不要)で、給付対象を推薦する県内の全ての高校を対象に、観光や情報通信にかかわらず非課税世帯の生徒1人の推薦枠を設定していることが28日までに分かった。沖縄の子どもの貧困率が全国平均の2倍になっていることなどから、制度に柔軟性を持たせた。

 政府による全国一律の給付型奨学金制度は、大学・短大、高専・専門学校に進学する非課税世帯の学生を原則として学力を基準に判断する。県内の学生も対象となる。

 一方、沖縄独自の給付型奨学金制度は昨年創設が決定。給付に向け、事業概要が固まった。県内の専門学校進学率の高さや沖縄に必要な産業の人材育成を考慮し、観光や情報通信分野の専門学校に通う非課税世帯の学生を対象に、学力だけでなく「意欲」も含めて総合的に選考する。自宅通学か否かなどにより月2~4万円を給付する。年度内に300人の給付を予定し、対象は専門学校に進学する生徒を高校が推薦する。

 制度上は観光や情報通信関連の学科に入ることが条件となっているが、内閣府によると、関連の学科以外でも給付を受けられるよう各校に推薦枠1人を振り分けた。これにより、看護や美容など観光や情報通信分野とは直接関係のない学科も対象になるという。

 また、観光・情報通信分野以外の学科の場合でも、観光や情報通信分野へ就職するなどの意思があれば「関連する学科」と判断し、給付対象になる。

 18年度は事業開始年度のため、5月中旬をめどに既に進学している専門学校生を対象を決定し、4月分からさかのぼって給付する。19年度からは前年度9月ごろから選考に入る。(仲村良太)