
Q.なぜ思春期はイラっとする?
今日の質問は、「小学生の頃は親の言うことを素直に聞けたのに、中学に入ってからは、八つ当たりしてしまうことが増えました。なぜ思春期になったら親に反抗したり、勉強のことや生活のことで注意されたりするとイラっとするのですか」
です。中学1年生からです。

A.自律・自立へ心が変化する
イラッとする理由
思春期はおとなに向かって身体や心が変化する時期です。それぞれの人が持っている命の設計図(DNA)に変化の仕方や時期は書いてあり、早い遅いで良い悪いということはありません。
身体では、脳の性を管理している部分からホルモンという物質が出て、全身が変化していきます。性を管理する部分が活発に働き始めると、感情を管理する部分にも影響が出るためイライラ、高ぶる、急に落ち込むなど、気持ちが不安定になりやすいのです。
それで昔から思春期は「嵐」と呼ばれるわけだけど、必ず終わるから安心してくださいね。時々嵐が小さい人が、「自分はおかしいのかな」と相談に来ることがあります。人によって違って良いんだということを、いつも頭の隅に置いといてください。
心では、自律・自立に向かって変化していきます。親は子どもより人生の経験が多いので、失敗の少ない方法を教えてくれます。
今まではそれに全面的に頼っていましたね。でも思春期に入ると、「まずは自分で考えてみよう」「自分の納得できる方法で挑戦してみよう」と、親と距離を取るようになります。
ところが自分で決めた方法では上手くいかないことも多くて落ち込むし、親に「ちゃんと言うことを聞かないからよ」などと注意されると、イラッとする人はあなただけではありません。
親の言うことに何でも従うのではなく、自分でやってみようとするのは、子どもにとっては自律・自立に向けた大事な変化です。おとな目線で「反抗期」と呼ぶのは残念だなあと私は思っています。ただし、人や物に八つ当たりするのは暴力で、思春期だから仕方がないではすみません。
心のコップ 点検しよう
まず、イライラや不安などが溜まっている心のコップを点検しましょう。いっぱいになっていると、ちょっとしたことで爆発して中身が飛び出します。あなたの場合は、入学という環境の大きな変化もあり、いろんなことに気を使って、余計にいっぱいになっていると思います。友だちや身近なおとな、電話相談に聞いてもらったり、紙に書き出したりしてすっきりさせましょう。

上手くいかないのは初心者だから当たり前。自分がダメだということではなく、選んだ方法が今回は適切でなかっただけだと冷静に判断して、次の方法を考えることができたら良いですね。親には、自分のしたいことや今の気持ちを「Iメッセージ」で伝えられたら、関係も良くなると思います。

徳永桂子(とくなが・けいこ) 思春期保健相談士。
心が生きると書く「性」、心が生きて交わる・お互いの心を生かして交わると書く「性交」の漢字の通り、子どもたちがありのままの自分を肯定できるように。豊かなパートナーシップを築けるように。みんなで明るく肯定的に性について語れたらいいなと思って活動中。
新報小中学生新聞に「ココロ・カラダ不思議つながり」を連載中。著書に「からだノート~中学生の相談箱」(単著)「LGBTなんでも聞いてみよう~中・高生が知りたいホントのところ」(共著)など。