水産学会で奨励賞 沖縄水産高の「フルーツフィッシュ」開発


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卒業生の研究を継ぎ、新たなフルーツフィッシュの開発に取り組む沖縄水産高校総合学科海洋生物系列の生徒ら=4月下旬、糸満市の同校

 沖縄水産高校の総合学科海洋生物系列を3月に卒業した7人が授業で取り組んでいた「沖縄県産フルーツフィッシュの開発」がこのほど、東京海洋大学で開かれた2018年度日本水産学会春季大会の高校生ポスター発表部門で奨励賞に選ばれた。研究を引き継いた現在の同系列3年生は「在学中に商品化を目指したい」と意気込んでいる。

 「フルーツフィッシュ」とは、かんきつ類などを混ぜ合わせた餌を与えて育てた養殖魚のことで、魚の臭みを抑えるほかかんきつ系の風味も味わうことができる。沖縄水産高校では16年から開発に取り組み始めた。魚は同校でも種苗生産しているタマン(ハマフエフキ)で、餌にフルーツは県産シークヮーサーを選んだ。

 研究では、果汁に浸した配合飼料を与えたり、粉砕した配合飼料と果実を混ぜ合わせて与えるなどの実験を繰り返した。県内のシークヮーサー加工業者から「果汁生産時に出るパルプ(残りかす)を利用できないか」との提案があり、配合飼料に混合したところ、試食会で「今まで一番果実の香りが感じられる」「おいしい」と好評を得た。こうした内容を東京水産学会でポスターにまとめ発表した。

 卒業生から研究を引き継いだのは、松田茉仁さん、神谷力さん、仲里雄飛さん、佐々木絵凜南ドゥエルさん、金城功之介さん、新垣佑美茄さん、佐藤項羽さんの7人。1月に校内で開かれた課題研究発表会で、研究内容を知り魅力を感じたという。今年は、漁業者からの協力も得て県内で需要が高いマダイでフルーツフィッシュの開発を目指す。

 魚の生臭さが苦手だという佐々木さんは「私でも食べることができる魚を育てるのが今から楽しみ」と笑顔を見せ、金城さんは「世界中に出せるくらい自信のある魚を育てたい」と力を込めた。他の生徒らも「早く開発して沖水祭や産業まつりに出店し、一般向けに商品化したい」と意欲を語っている。