忘れられない看護エピソード 津波さん、内館賞 初のみとりつづる


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日本看護協ら主催の「忘れられない看護エピソード」で内館牧子賞を受賞した津波あけみさん(前列左端)と、特別審査員の内館牧子さん(後列左から3人目)=6日午後、東京都渋谷区の日本看護協会ビル

 【東京】日本看護協会(東京)と厚生労働省が12日の「看護の日」に合わせて毎年実施している「忘れられない看護エピソード」作品の表彰式が6日、都内の看護協会ビルであった。特別審査員で脚本家の内館牧子さんが選ぶ、最優秀賞に次ぐ内館牧子賞に沖縄県名護市の津波あけみさん(53)が選ばれた。

 津波さんは現在、名護市の医療型障害児入所施設名護療育医療センターで看護師として勤務している。もともと支援学校の教員を勤めていたが、「子どもたちと最後まで一緒にいたい」との思いで一念発起、学び直して38歳から看護師となった。

 受賞作品は「初めての看取(みと)り」と題し、現在の医療センターの前の病院で、看護師になりたてのころ末期がんの患者を初めてみとった体験をつづった。

 津波さんは、受賞の連絡を受けた際には「信じられない」と半信半疑だったという。受賞作品は、自身の看護師としての経験を文章に残しておこうと書いたものだった。初めてのみとりの経験については「みとりというものが怖いものではないと、その人に会えてただただ感謝だった。むしろ積極的にそこに向かっていける自分になった」と語った。

 内館さんは津波さんの作品の講評で「内館賞は『初めての看取り』にすぐ決めた。患者は型通りのみとりが100人いるより、はるかに幸せに旅立ったのではないか。こういう作品を読むと、看護師は白衣の天使という言葉が蘇る」と述べた。

 「忘れられない看護エピソード」は今年で8回目。看護師や、患者やその家族らが看護の現場で体験した心温まるエピソードを募集している。今回は一般部門で2288作品、看護部門で1151作品の計3439作品の応募があった。表彰式では津波さんら最優秀賞と内館牧子賞の授賞のほか、最優秀賞作品の朗読などもあった。