2017年に沖縄県警に寄せられた児童虐待に関する相談・通報件数は、前年に比べ167件増の420件だった。8日までに県警がまとめた。過去10年で最多となり、最も少なかった07年の80件より5倍以上増加した。近年は増加傾向にあり、県警や識者は、児童虐待に対する意識が高まって相談・通報が増えていると分析している。
件数の内訳は、児童の前で配偶者らに暴力をふるう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」を含む心理的虐待が、前年比129件増の221件で最多。次いで「怠慢または拒否(ネグレクト)」が同44件増の106件だった。身体的虐待は同6件減の88件で、性的虐待は16年と同じ5件となった。
人権を侵害するあらゆる暴力の防止を掲げ活動する、NPO法人「おきなわCAPセンター」の上野さやか事務局長は、面前DVを含む心理的虐待が増加している点に着目。「面前DVから始まって一気にエスカレートし、子どもへの身体的虐待に発展、命を奪うケースもある」と指摘する。
心理的虐待は、子どもの発達や健康に深刻な影響を及ぼすが、心の傷は見えないため、軽視されがちという。面前DVなどを目撃し無力感や罪悪感を抱えてしまう子どもに対し、上野さんは「『暴力の原因はあなたではないよ』『あなたは大切だよ』というメッセージを届けるのが大事だ」と強調した。