伝統製塩法 生徒が体験 ひるぎ学園「入浜式」で歴史学ぶ 沖縄・名護


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カシー(粘性砂)の乾きを見て呼び塩をしたり乾きやすくしたりする作業をする生徒たち

 【名護】地域に残る文化財を子どもたちに伝えようとする取り組みが名護市で行われている。日本では屋我地でのみ、今も産業として継承されている伝統的製塩法「入浜式」の塩作りを、4月27日に沖縄県名護市の屋我地ひるぎ学園7年の生徒17人が体験した。丸1日かけて手作業を繰り返す重労働を身をもって体験し、地域の歴史を学んだ。

濃度の高いかん水をあくをとりながら煮詰める作業=4月27日、名護市屋我地

 ひるぎ学園近くの我部には、市指定文化財「我部の塩田跡」が残されている。屋我地は、遠浅の潮の満ち引きを活用した「入浜式」による塩作りが盛んで、450年前から続く手法を産業として残し、今も塩の販売を続けている。全国でも観光地として塩田を復活させた場所はあるが、実際に塩を作って販売しているのは国内では屋我地だけだ。

 入浜式で製塩した塩を販売する「塩田」の上地功代表は2007年、後継者がいなくなり消滅しかけた塩田を復活させ、入浜式での塩作りを再開した。

 入浜式塩田は雨が降ると塩作りができず、常に天気との闘いで重労働だ。だが、良質の塩が生まれるという。塩田に保水力のいい粘土質の砂(カシー)を巻き、竹棒で均一にならし天日に干す。塩の結晶が付着したカシーをドラム缶に集め、海水をかけてろ過すると塩分濃度の高いかん水ができる。それを煮詰めることで海水を炊くよりも効率良く塩を作ることができる。

 ひるぎ学園の生徒らはこの日、汗をかきながら一連の作業を体験した。運天朝也さん(12)は「結構こつがいると思った。腕の筋肉が大変。やったことがなかったので、勉強になった」と感想を述べた。新城遥花さん(12)は「難しかったけど楽しかった。重くて力がいる。いろんな人に入浜式塩田を体験してもらって、塩田の楽しさを知ってほしい」と述べた。

 上地代表は「昔の先輩から作り方を聞いて学んでいった。親から子どもへ今後も少しずつ手法を伝え続けていきたい」と語った。