オスプレイ豪墜落 回転翼風が原因か 操縦不能の可能性


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【ワシントン=座波幸代本紙特派員】米海兵隊専門紙「マリンコータイムズ」(電子版)は10日、昨年8月5日にオーストラリア沖で起きた米軍普天間飛行場所属のMV22オスプレイ墜落事故の原因は、回転翼が作り出す強い吹き下ろしの風(ダウンウォッシュ)によって操縦不能になった可能性があると報じた。

 事故機は洋上展開中の揚陸艦グリーンベイへの着艦に失敗し、乗員26人のうち、3人が死亡した。

 同紙は、事故調査委員の技術者の証言を紹介。事故機は揚陸艦への着艦を試みた際、船体に反射して起きたダウンウォッシュによって回転翼が揚力を失い、機体が1分間に200~300フィート(約60~90メートル)、急速に高度を下げる中でパイロットが体勢を立て直せないまま、揚陸艦にぶつかり、海中に沈んだと報じている。

 また、同紙は、緊急時の脱出訓練が徹底されていなかったために、3人が死亡した可能性があるなどという指摘も報じた。

 米国防研究所(IDA)でオスプレイの主任分析官を務めた専門家、レックス・リボロ氏は、これまで本紙の取材に、オスプレイは機体のメインローターが作り出す吹き下ろしの風によって揚力が出せなくなり、降下が止まらなくなる問題が発生すると指摘していた。「同様な状況下を想定したパイロットの訓練が適切に行われていない上に、操縦席内にこういった危険な状況を知らせる計器がない」ことを課題に挙げている。