県に強制不妊調査要請 NPOイルカ 国の謝罪と救済も


社会
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県地域保健課の山川宗貞課長に強制不妊調査を求める要請書を手渡す長位鈴子代表(左)=16日、県庁

 旧優生保護法(1948~96年)下で障がい者らに対し強制的に不妊手術が行われていた問題を巡り、宜野湾市のNPO法人県自立生活センター・イルカの長位鈴子代表(55)らが16日、県庁を訪れ、県に実態把握のための調査などを要請した。県によると、障がい当事者団体が旧優生保護法に関する要請をするのは初めて。

 要請では(1)被害状況を明確にするため調査をして結果を公表するほか、関係資料などを保管すること(2)県公文書館に所蔵されている優生手術に関する書類を精査すること(3)被害者への救済を進めるため相談窓口を設置し、国に対して謝罪と救済措置の早期実現を求めること―などを求めた。

 要請書を受け取った県地域保健課の山川宗貞課長は「今のところ詳しい資料は存在しないのが実情だが、今後精査したい」と話した。要請後、長位代表は「大変な思いをされた当事者のことを考えると複雑だが、自分たちも歴史をもう一度知って今後の障がい者運動に生かさないといけない」と語った。

 旧優生保護法では、知的障がいや精神疾患などを理由に本人の同意がない場合も不妊手術を認めていた。これまでに全国で約1万6千人が強制的に手術されたと言われており、県内でも本人の同意なしに不妊手術を行った事例が2件あったことが明らかになっている。

 今年1月に不妊手術を強制されたとして、宮城県の60代女性が国に損害賠償を求め仙台地裁に提訴。追加提訴や被害者の掘り起こしに向けて5月下旬に全国弁護団の結成が予定されるなど、全国的に実態解明と補償を求める動きが起きている。