クロマグロ水揚げ禁止 管理団体規制 沖縄県内は16隻対象


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 資源保護が必要とされる太平洋クロマグロ(大型魚)に関し、近海かつお・まぐろ漁業などの管理団体「全国近海かつお・まぐろ漁業協会」が16日以降、30キロを超える大型クロマグロの水揚げを禁止したことが関係者への取材で分かった。沖縄県内のクロマグロ漁期は4~6月で、1カ月半を残して一部の大型クロマグロ漁ができなくなり、漁獲量の減少や漁業者の収入減少が懸念される。

 クロマグロは資源が激減し、水産庁は管理計画を策定して漁獲量を制限している。今年1月以降、規定の漁獲枠に対し、漁獲量が9割を超えて制限量に迫っていることを理由に同協会が自主的に規制する。

 同協会は今月13日以降の漁獲を禁止し、漁獲した場合は放流するよう関係者に通知していた。

 対象は、巻き網漁業以外で大型クロマグロを漁獲する10トン以上20トン未満の「大臣許可船」。県内では那覇地区漁協や県近海鮪漁協などに所属するマグロはえ縄漁船の16隻ほどが該当する。大臣許可船以外の小型船や一本釣りなど一部対象から外れるものもある。

 県内の大型クロマグロ漁の関係者は「収益が減少し、経費ぎりぎりか赤字になる可能性もある。クロマグロより単価は下がるが、キハダマグロやカジキなど他の魚種を取ることになるかもしれない」と語った。

 現在は業界団体の自主規制にとどまるが、水産庁も漁獲量の集計を進めており、今後は国による水揚げ停止命令が出る可能性もある。水産庁は取材に対し「漁獲枠に達した場合、資源管理法に基づいて是正措置や採捕停止命令を出すこともある」と答えた。

 水産庁は、30キロ未満の太平洋クロマグロ小型魚について、全国の沿岸漁業者に操業自粛を要請している。(大橋弘基)