「沖縄、今も苦悩の現場」 日本ペンクラブ集会 平和と文学など討議


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沖縄と文学について意見を交わす日本ペンクラブの「平和の日」の集い=20日午後、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター(花城太撮影)

 日本ペンクラブの第34回「平和の日」の集いが20日、「人 生きゆく島 沖縄と文学」をテーマに沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開かれ、県内外から9人の作家、詩人、ジャーナリストが参加し、基調講演やパネルディスカッションを行った。基地問題や沖縄戦を描く沖縄文学を表現者たちが語り合うことで、沖縄の苦悩を全国に発信し、平和のため文学に何ができるのかを考えるのが目的。同イベントは県内初開催。800人が来場し、作家たちの議論に熱心に耳を傾けていた。

 日本ペンクラブ前会長で小説家の浅田次郎さんは「沖縄で考える戦争と文学」と題して基調講演した。浅田さんは「人間の苦悩をありのままに描くのが文学。苦悩のないところに文学は生まれない」と強調した。基地問題に翻弄(ほんろう)される沖縄について触れ「沖縄は今も、戦争をずっと引きずっている苦悩の現場。皮肉なことに、沖縄の文学はそれゆえ燦然(さんぜん)たる輝きを放っている」と訴えた。

 続いて行われたパネルディスカッションには、浅田さん、作家の吉岡忍さん、落合恵子さん、ドリアン助川さん、川村湊さん(文芸評論家)、金平茂紀さん(ジャーナリスト)、県在住作家の大城貞俊さん、又吉栄喜さん、詩人の八重洋一郎さんが参加した。

 大城さんは沖縄戦や基地問題などを描く沖縄文学について「基地被害に遭い、国家権力に傷つけられ、それでも声を上げる弱者を描く、沖縄でこそ生まれる文学だ。時代や状況に対し倫理的に、権力にあらがう文学の可能性を追求したい」と語った。

 又吉さんは「米軍基地は世界中でさまざまな問題を起こしている。基地に虐げられる沖縄の人々を描くことで、沖縄文学は世界性を持つ」と述べた。

 川村さんは「終戦後数十年、米軍による支配が続き、復帰しても少しも減らない基地に苦しめられている沖縄から生まれる文学には、日本の文学を変える力がある。本土の人にこそ読んでほしい」と訴えた。

英文へ→Japan P.E.N. Club holds Day of Peace Symposium in Okinawa, speakers say Okinawa still feels anguish of war