表彰、一般公開せず 厳戒態勢、沖縄県「混乱を回避」 安室さん栄誉賞


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 9月の引退を前に、国内のみならず海外からも一挙手一投足に大きな注目が集まっている安室奈美恵さんが出席する県民栄誉賞表彰式に、県はファンが殺到する事態などを警戒して事前の発表を一切控え、非公開で表彰式を執り行うなど、異例の厳戒態勢を敷いた。

 過去5度の県民栄誉賞は授賞の決定や表彰式の日時を事前に発表した上で、県庁1階の県民ホールや4階講堂で県民に公開する形で表彰式を開催してきた。だが、県知事公室は表彰式前日の22日夕、県政記者クラブ加盟各社に知事応接での開催を伝達した上で、「事前に報道されると混乱を生じて、安全性が保たれない状況になる恐れがある」として事後の報道解禁を要請した。

 会場となった知事応接室に入場できる記者を各社1人ずつと制限を設け、肖像権を理由にカメラの持ち込みも許可されなかった。式典の模様はレコード会社のエイベックスが撮影し、報道用の写真と映像を各社に提供する方式をとった。

 県は式典後すぐに、安室さんへの県民栄誉賞授与について翁長雄志知事のコメントを発表。その中で「県民だけでなく県外・海外からも会場に人が集まり、想像以上の混乱を生じる恐れがあった」と説明し、「県民の皆さまに一緒にお祝いする機会を設けられず大変申し訳なかったが、安全面を第一に考慮しての措置」だったと理解を求めた。

 厳重な情報管理にもかかわらず、式典時に県庁に駆け付けた熱狂的なファンの姿もあった。「スーパーモンキーズ」時代から安室さんのファンという40代の女性=那覇市=は、22日に安室さんのファンが那覇空港に集結していたといううわさを聞き、県民栄誉賞のための来県だと予測。23日、県庁の警備が厳しくなっているという情報が知人から寄せられると、仕事を早退し、県庁ロビーに駆け付けていた。

 安室さんが正面玄関から出入りすることはなく、結局、姿を見ることはできなかった。女性は「昔はライブに行けば、膝のばんそうこうが見えるほど近くで見ることができた。今は遠くでしか見ることができないほど人気歌手になり、うれしいようなさみしいような」と語り、「安室愛」がにじみ出ていた。