水中世界に癒やされて 園原さん 水草を栽培・販売、講座も 在来種保全も訴え


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世界各国原産の品種がある“水草ファーム”の手入れをする園原信也さん

 【宜野湾】たくましく育ち、水中を美しい庭園や洞窟のように彩る水草―。宜野湾市野嵩の園原信也さん(43)は、珍しい水草の栽培と販売を手掛ける個人業者だ。2010年に事業所「SONOアクアプランツファーム」を設立。希少種を含む世界各国の水草を育て、今では全国各地の愛好家に出荷するほどだ。水槽などで水草や観賞魚を育てる「アクアリウム」に幼い頃から親しみ、「癒やされてほしい」とその作り方講座を県内各地で開いている。

 山や川など内陸の豊かな自然に囲まれた長野県阿智村出身の園原さん。幼い頃に家族で訪れた三重県の海で美しい魚や水中植物を目にし、その美しさのとりこになった。「長野は内陸だから、海への憧れが強かった」。観賞魚飼育の月刊誌を毎月買うなど水中世界にのめり込み、大学は琉球大理学部海洋学科に進学した。

園原さんが自宅で管理する幻想的な「ボトルアクアリウム」=宜野湾市野嵩

 水草販売のきっかけは、大学卒業後に地元長野で野菜のインターネット販売を手掛けていた時のこと。「無農薬の長野の田んぼには、貴重な水草がたくさん生えている」ことに気付いた。販売すると愛好家から好評で、豊富な知識を生かし、事業化の道筋を付けた。

 08年に沖縄に戻り、野嵩の住宅地で水草のプランター栽培を開始。産地が別の同品種のものも含めると数は400~500点。南米やアフリカなど温暖な地域が原産地のものが多く、沖縄ではよく育つ。希少種も豊富で、9割以上は県外の愛好家に出荷。「水草の管理や出荷は楽じゃない。好きじゃないとできないよね」と笑う。

 2年前からは瓶の中で動植物の生態系を再現する「ボトルアクアリウム」の作り方講座も開く。癒やし効果などから人気が高まっており、昨年は40回以上開催した。13日の未来屋書店沖縄ライカム店での講座では、飼い主が外来種を川に放流し生態系を壊してしまった事例も紹介し「アクアリウムを通して自然の偉大さを知り、自然を大切にする心を養ってほしい」と呼び掛けた。