初の自然誌 発刊 名護市史 大浦湾の生物も


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「名護市史本編・1 自然と人I 名護やんばるの自然誌」。大浦湾に生息する生き物などが紹介されている

 【名護】沖縄県の名護市史編さん室が1977年から作業を進めていた「名護市史本編・1 自然と人I 名護やんばるの自然」がこのほど刊行された。6章で構成され、海や川の生物のほか陸の動植物、気候や地質などをまとめている。また、米軍普天間飛行場移設に伴う新基地建設の埋め立て工事が進む名護市の大浦湾に生息する海の生き物なども、写真を多用して紹介している。名護市史では初となる自然誌で、全編フルカラーでまとめた。

 第3章の「海の生物」では、名護市の海域環境として普天間飛行場の辺野古新基地建設について触れており、「工事の期間中から竣工後においても、大きな影響を及ぼし続けると考えられる」と指摘している。このほか、名護市海域に生息する多様な海産生物を紹介。その中では「沖縄島でアオサンゴの巨大な群落の存在が知られているのは、唯一大浦湾の東岸のチリビシと呼ばれる場所のみ」と説明し、「保護の重要性が主張されている」と明記した。

 市教育委員会文化課市史編さん係の担当者は「名護の自然の全体像を1冊にまとめた。名護の自然を理解する上で参考となる」と話した。

 名護市の宮脇書店のほか、道の駅許田や市編さん室でも販売する。B5判、575ページで、定価3千円(税込み)。千部発行。問い合わせは市史編さん係(電話)0980(53)5402。