性的少数者の依存回復支援 沖縄ダルク、当事者スタッフ配置


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LGBTハウスを運営する理由について説明する森廣樹代表(右)と板谷一郎さん=6日、宜野湾市

 【宜野湾】薬物やギャンブルなどの依存症リハビリ施設「沖縄ダルク」(宜野湾市)は、依存症を持つ性的少数者(LGBT)が回復に向けて生活を共にする「LGBTハウス」を運用している。自身も薬物依存症の経験者で、ゲイであるボランティアスタッフの板谷一郎さん(67)が一緒に生活し、当事者の視点から利用者の相談に乗る。

 社会的な偏見から性的少数者が感じるストレスを和らげ、精神的な安定を図ることで、早期の依存症回復を促す。

 沖縄ダルクの森廣樹代表(55)によると、性的少数者に特化した依存症回復に向けた取り組みは県内では他に例がない。全国に約80カ所の拠点がある「ダルク」でも、積極的に取り組むのは2、3カ所程度という。

 LGBTハウスは昨年6月、宜野湾市内のマンションの一室を借りて始めた。沖縄ダルクは3年前から女性専用の「女性ハウス」を運用していたが、「体は男性だけど心は女性になりたい」というトランスジェンダーの利用者がいたことから「共同生活すると精神的に不安定になるかもしれない」(森代表)と考え、LGBTハウスを造った。

 以前から複数の性的少数者から相談があったという森代表は、「社会の偏見で居場所が無くなり、薬物を求めてしまう人もいるのかもしれない」と背景を推測する。

 LGBTハウスは現在、板谷さんを含め3人が入居する。今後は1軒屋を借りて、受け入れ人数を6人に増やす予定だ。

 森代表は「施設では回復のモデルになる人に出会える。性的マイノリティーや依存症は社会的な偏見が強く言い出しにくいと思うが、困っていれば相談してほしい」と呼び掛けた。

 問い合わせは沖縄ダルク(電話)098(893)8406。