多様な学び未来につなぐ アメラジアン・スクール20周年 教室や資金不足、支援呼び掛け


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開校20周年を祝うケーキをうれしそうに見つめるアメラジアンスクールの子どもたち=1日、宜野湾市の同校

 アメリカ人とアジア人の両親を持つ「ダブル」の子どもたちが学ぶ民間教育施設「アメラジアン・スクール・イン・オキナワ」(沖縄県宜野湾市)が1日、20周年を迎えた。英語と日本語で多様な教育活動を行う同スクール。国からの補助がなく、資金面や校舎の確保などの苦労もあるが「子どもたちが笑顔で過ごせる学校づくりにまい進したい」と思いを新たにした。

 同スクールは、日米双方にルーツを持つ子どもたちに双方の文化の教育機会を与えようと1998年に5人の母親によって設立され、無認可のフリースクールとして出発した。現在、幼稚園児から中学校3年生までの計70人が通う。全生徒がそれぞれの地域の公立学校に在籍しており、同校での学習活動は、在籍する公立学校の出席として認められている。

 近年は米国と日本だけではなく、他国出身の両親を持つ児童生徒も受け入れている。父親が英国人、母親が日本人のジョージ・ボルトンさん(13)は「スクールは洋服も髪型も自由で、毎日が楽しい」と語る。現在は県内の高校進学に向けて勉強に励んでいるという。「高校では驚くことも多いだろうけど、それも新鮮で楽しみ」と胸を弾ませる。

 これまでに約70人の卒業生を送り出し、多様な教育機会を広げている一方で、教室不足の問題などを抱えている。

 同スクールは、宜野湾市の人材育成交流センターめぶきの1階を借りて運営を続けているが、教室数が足りず1つの学級で複数の学年が学ぶ複式学級を余儀なくされている。また十分な運動スペースもないことから、体育の授業は近くの公園などを利用する。

 民間の教育施設のため国からの公的予算が付かず財政面も厳しい。月3万1千円の授業料と寄付、県からの補助金で運営をまかなっている。自身の2人の子どももスクールに通うウィリアム・トランパス校長は「子どもたちには、多様な環境で伸び伸びと過ごさせてあげたい。そのための寄付や補助などが広がってくれれば」と支援を呼び掛けている。