分離帯開口、どうする? 那覇市仲井真国道329号 閉鎖実験で議論


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中央分離帯の開口部を閉鎖した国道329号の仲井真交差点付近=那覇市仲井真

 沖縄県那覇市仲井真の国道329号の中央分離帯の開口部を巡り、地域で議論が起きている。開口部は車で国道から右折して地域の生活道路に入る際に通過する箇所だが、交通安全対策のため閉鎖が検討されている。だが、周辺地域からは閉鎖しないよう求める声も根強い。沖縄総合事務局南部国道事務所は、開口部を閉鎖する実証実験を5月26日から7月29日まで実施中。国道や生活道路の安全対策に向け、実験結果を基に住民と話し合う方針だ。

 分離帯に開口部がある国道329号の仲井真交差点から嘉数交差点までの間は、中央分離帯が広く造られており、対向車が見えにくい。課題解決に向けて、南部国道事務所が2017年から分離帯を狭める工事を進めている。その一環で開口部の閉鎖が検討されたが、車を運転する際に開口部を通る住民も多く、同事務所は17年から説明会やワークショップで住民と意見を交わしてきた。

 調査では、午前7~11時に開口部周辺では800台以上の車が通行していた。特に仲井真交差点と国場交差点を回避し、開口部を右折して那覇市国場側(北側)の生活道路を通過する車が多い。ただ調査では43%が地域関係者以外の車両だった。

 北側の生活道路は小中学校の通学路でもあり、狭い道路で車と児童らがすれ違う。この道路では12~15年に11件の事故があった。国場児童館の山崎新(あらた)館長は「閉鎖実験で車両が減った。子どもたちの安全のためには開口部は閉鎖した方がいい」と話す。

 ただ開口部から集落に入るルートは国道の設置前から利用されていた。特に仲井真交差点から南側の集落は開口部がふさがると、嘉数交差点向けの左折でしか国道に抜けることができず、国場や上間向けに行くためには大回りする必要が出てくる。

 南側集落に住む嘉数芳則さんは「閉鎖は不便だ。実験をするならほかの方法も検証すべきだ」と話す。同事務所のアンケートでは北側の住民からも「明治橋方面への通行が不便」との意見が出るなど、65%が閉鎖を望まないとの結果が出た。

 同事務所は再度アンケートを取り、議論する予定だが、山崎館長らは「開口部の閉鎖以外の手法の議論が不足している」と話す。事務所の山城修副所長は「一方的に判断せず、住民と意見を交わしたい」と述べた。