がん遺族、悲しみ共有 「あなたは一人じゃない」 アドベンチスト


社会
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スマートフォンの写真を見なが病院スタッフらに父の思い出を語る娘の島袋真紀子さん(左端)、夫の祐矢さん(左から2人目)=10日、西原町のアドベンチストメディカルセンター

 アドベンチストメディカルセンター(西原町)は10日、がんで亡くなった患者を追悼し、遺族らが精神的に支え合う「偲ぶ会」を同病院で開いた。がんで大切な家族を失い、深い悲しみの中にある遺族に「あなたは一人ではない」と呼び掛け、互いに胸の内を語り合うことで精神的な支えにつなげることが目的。がんで亡くなった30代から90代までの患者24人の遺族や、友人ら約50人が参加し、ハンカチで涙を押さえながら語り合う場面もあった。

 同病院は、患者や家族の心身の苦痛を和らげる「緩和ケア」を実施する病棟を2002年に開設した。がんで亡くなった患者の遺族が集う「偲ぶ会」は年1回開いており、今回で17回目。

 参加者は少人数のグループに分かれ、持参したアルバムや写真立て、スマートフォンなどで故人の写真を互いに見せ合いながら生前の思い出を語り合った。

 父の上原隆さんを舌がんで昨年10月に亡くした島袋真紀子さん(42)=那覇市=は、夫の祐矢さん(38)や子どもらと共に参加した。真紀子さんは「同じ悲しみを味わった人たちで共有できるのは良い。心の整理にもつながる」と語った。

 37歳の息子を胃がんで亡くした女性は「なぜこんな目に遭うのか信じられなかった」と振り返った。遺影を手に、胸の内を聞いてもらったことに「良かった。病院に感謝している」と笑顔を見せた。