子の「非行」 悩み寄り添い 親集う「さんぽの会」5周年 16日、能登原さん招き学習会


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5周年を迎え、毎月発行する通信を広げて活動を振り返る「さんぽの会」世話人代表の井形陽子さん=那覇市内

 子どもの非行や問題行動に悩む家族が集まり交流する「さんぽの会」(おきなわ「非行」と向き合う親たちの会)が5周年を迎えた。結成のきっかけとなった福岡県の親の会「ははこぐさの会」代表の能登原(のとはら)裕子さんを招いた学習会を16日、宜野湾市で開く。「この場が必要とされる状況がいいのかは分からないが、安心して話せることは大切」と世話人代表の井形陽子さんは来場を呼び掛けている。

 さんぽの会の結成は2013年。きっかけは井形さんの息子だ。学校に行かずバイクに乗り、にらみつけるような鋭い目で家出を繰り返す息子を、正そうと叱るとさらに反発して悪循環に陥った。「子どものことは心配だし、『きちんと育てられない』と親自身も追い込まれていく」

 子どもの行動を正せない親としての後ろめたい気持ちがのしかかり、積極的に参加していた学校活動にも行けなくなった。地域では他の保護者の目さえ避けるようになった。学校からは「こんな問題行動は前代未聞」と言われて誰にも相談もできず、出口の見えないトンネルにいるような状態で頭を抱えた。当時「同じような人がいる」と励まされたのが、ははこぐさの会だった。

 結成したさんぽの会は会員数約50人で毎月1回、例会を開き、体験談などを伝える通信を発行している。例会では、思いを打ち明ける人も、他の人の話をただ聞く人もいる。最優先するのは悩み、傷つき、人目を恐れる親たちにとって安全な場であること。「求めてもいないのに『ああしたら』『こうしたら』と助言されて傷ついている人は多い」と井形さん。

 会員には法律家や児童福祉の専門家もいるが、「必要なことがあれば手伝いできる」との姿勢に徹し、あくまで「聞く場」であることを貫いているという。

 「誰がいるかも分からず、初めて来るときは勇気がいると思う。まずは能登原さんのお話から参加してもらえたら」と呼び掛けた。

 学習会は能登原さんのお話と例会(交流会)を行う。宜野湾市男女共同参画支援センターふくふくで午後1時半から。資料代500円。申し込みはさんぽの会(電話)070(5403)1930。

 (黒田華)