米軍F15飛行中止「政府が申し入れ」 首相誤答弁 修正せず 防衛相、事実誤認を否定


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 小野寺五典防衛相は26日の会見で、嘉手納基地所属のF15墜落事故を巡り安倍晋三首相が25日の参院予算委員会で飛行中止を求めたと答弁したことに関し、事実誤認ではないとの認識を示した。防衛省は飛行中止を求めていないことから、整合性を問われた小野寺氏は「(首相は)『米側に対し安全管理、再発防止の徹底について強く申し入れ、米側は徹底的な点検のため訓練飛行を中止したところだ』とお答えしている。その趣旨でお話しされたと思う」と釈明した。

 首相は25日の予算委で、F15墜落事故が発生した11日に政府として再発防止などを求めたことに触れ、その後飛行停止について「私たちが申し入れを行い、2日間の停止があった」と答弁した。

 米軍は事故を受けて点検のため2日間の飛行中止措置を取った後、13日に飛行を再開させたが、この間防衛省は飛行中止を求めていなかった。

 小野寺氏は26日の会見で、首相の答弁の食い違いを修正する必要があるのではないかと問われたが「(首相は)さまざまなやりとりの中でお答えした」と述べるにとどめ、議事録修正の必要性についても否定した。

 安倍晋三首相が事実誤認の答弁をした25日の参院予算委員会でのやりとりは次の通り。福山哲郎氏(立憲民主)が質問した。

 福山氏 (F15墜落に関し)米軍が自民党も含めた県議会の抗議決議の面会を拒否した。どう捉えるか。

 首相 事故については米側に対し安全管理、再発防止の徹底について強く申し入れ、米側は徹底的な点検のため訓練飛行を中止した。また沖縄県の副知事が米軍司令官と直接会って申し入れを行ったと承知しているが、米側の個別の対応について政府としてコメントすることは差し控えたい。

 福山氏 米軍は2日後に飛行を再開した。米軍を受け入れる国の総理としてどう改善を図るつもりか。

 首相 安全確保が第一で事件事故はあってはならない。今回についても(飛行)中止についてわれわれが申し入れを行い、2日間ではあるが(米軍が)中止し点検したと承知している。

 福山氏 2日後の再開で良かったとの認識か。県議会の抗議を受け止めろと米軍に指示していただけないのか。

 首相 たった2日間だったという批判もできるだろうが、かつて沖国大の墜落事故があって以来、ずっと事故があっても申し入れすら行ってこなかった。その反省の上に立って私たちは申し入れを行っている。事実でないのであれば具体的な例を挙げてご反論いただきたいが、その上で私たちが申し入れを行い、そして2日間の停止があったということだ。

 福山氏 米軍に要請はしてもらえるのか。

 首相 米軍の対応について政府としてはコメントを差し控えたい。