マグロ漁獲枠、来期大幅制限見通し 沖縄100トン前後、「生活成り立たず」


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斎藤健農相(右から3人目)に要請書を手渡す沖縄県の富川盛武副知事(同4人目)ら=6日、農林水産省

 資源回復が必要な太平洋クロマグロについて、沖縄県内の知事管理漁業の来期(2019年4月~20年3月)の大型魚の漁獲枠が100トン前後になる可能性があることが6日、分かった。今年の漁期(4~6月)には約190トンが漁獲されており、実施されれば大幅な制限が掛かることになる。県や水産団体は同日、漁獲枠の見直しを求めて農林水産省で斎藤健農相に要請を行い、県漁業協同組合連合会の上原亀一会長は「漁獲量が半減することになれば、漁業者の生活が成り立たない」と訴えた。

漁獲枠は水産庁が都道府県ごとに割り振っている。水産庁によると今期の計算方法を来期に適用すると沖縄の枠は約100トンになるという。

 知事管理分では7月1日から都道府県ごとに大型魚の漁獲枠が設けられ、県内では1・6トンが割り当てられた。この量は「大型のクロマグロを数匹取れば終わり」(県水産課)の水準で、県内ではクロマグロの漁獲があっても海に戻すなど、実質的な規制が掛けられている。

 漁獲枠を巡っては大臣管理分で巻き網漁業に約3千トンが割り振られる一方、県内で漁業者が多いはえ縄漁業などには167トンしか割り振られておらず「不平等だ」との批判もある。

 同日、富川盛武副知事や上原県漁連会長、県漁業協同組合長会の池田博会長が行った要請では、漁業種類別や保留されている分の漁獲枠の配分見直し、管理計画の早期の公表、漁業者への所得補償など経営安定対策の拡充などを求めた。

 富川副知事は「クロマグロは重要な資源で、水産資源管理の必要性は理解しているが、現在の管理措置には県内の漁業関係者からは不満や不信感がある」と強調。池田会長は「沖縄周辺では外国との漁業協定の問題もある中で、県内の漁業者は危機感を持っている」とし、見直しを訴えた。

 斎藤農相は「不安が広がっていることは認識しているが、資源管理は最もクロマグロを消費する国としても大事なことだ。今は実績に基づいて配分したが、それでいいのか皆さんの話を聞きながら対応したい」と語った。