【嘉手納】嘉手納町が北海道大学の松井利仁教授に委託している「嘉手納基地由来の大気汚染物質調査」で、悪臭の発生源が同基地所属のE3空中早期警戒管制機である可能性が極めて高いことが分かった。當山宏町長は結果を受け、3月末に第18航空団のケース・カニングハム司令官に、5月末には防衛省と外務省にE3の駐機場所の移転を初めて要請した。悪臭問題については、沖縄防衛局も「重大な問題」として昨年度から実態調査を検討している。
當山町長が口頭で要請したことに対し、カニングハム司令官は「機密性が高い機体なので現時点では移転は難しい」と答えたという。
調査では空軍大型駐機場を取り囲むように3カ所にニオイセンサーを設置し、悪臭の発生源を探った。南風のときに駐機場の北側に位置するB地点、東風のときに駐機場の西側に位置するC地点で、通常より高い臭気レベルを観測した臭気イベントが発生した。監視カメラによる確認では、これらの臭気イベントはE3が駐機しているときに発生していた。
松井教授は「統計学的に判断してもE3でほぼ間違いない。推測だが、E3のエンジンの老朽化が原因ではないか」と語った。今後はより精度を高めた調査で発生源の推定を行う。
嘉手納基地を長年取材している報道関係者は「悪臭はE3だけでなく、地上監視機E8Cジョイント・スターズが並んで駐機するようになったのも原因ではないか。悪臭を放つ旧型エンジンを搭載したこの2機種が早朝離陸と夜間離陸をすることで、悪臭被害が増加している」と推測した。
嘉手納町役場に寄せられる悪臭に対する苦情は、2007年度には3件だったが、16年度には67件と激増している。