23・3%が所得122万未満 受診控え、親の長時間労働…沖縄県が未就学児調査


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県未就学児調査の分析結果について説明する学識経験者ら=9日、県庁記者会見室

 沖縄県は9日、小学校入学前の子どもたちを取り巻く環境が、親子の日常生活にどう影響しているかについて1歳、5歳を対象に実施した未就学児調査の結果を発表した。保護者が病院に行くのを控える様子や、長時間労働など厳しい子育て状況が明らかになった。

 世帯の手取り収入を世帯人数で調整した「等価可処分所得」が122万円未満の世帯を低所得層I、122万~183万円未満を低所得層Ⅱ、183万円以上を一般層と設定。1歳、5歳合計の低所得層Iは23・3%だった。

 県が16年度に実施した高校生調査では、127万円を基準に困窮と非困窮世帯に分け、困窮世帯は29・3%だった。県によると、より厳しい世帯の生活状況を浮き彫りにするため今回の調査は3区分とした。

 過去1年間に保護者自身が病院や歯医者に行けなかった経験を尋ねたところ、「あった」との回答は4割を超えた。子どもの受診控えは1歳が13・4%、5歳が20・2%だった。

 保護者が自身の受診を控えた理由は、全体では仕事や子どもの世話で時間がなかったとする人の割合が高かったが、低所得層Iでは「家計が苦しかった」を選んだ人が1歳、5歳とも5割を超えた。

 母親の働き方を見てみると、1歳の76%、5歳の79%が就労していることが判明した。全国では1歳、2歳の子がいる母親の働いている割合は5割ほどで、全国と比べて就労の割合が高い。また、父親の労働状況では法定労働時間の週40時間を上回る週60時間を超える長時間働いている割合が1歳23%、5歳24%と高かった。

 ことし1月に1歳、5歳の保護者に調査票を配布。有効回答数は1歳が1929件、5歳が2800件だった。

 翁長雄志知事は今回の調査で子育て世代の保育環境、困窮世帯の保護者の就労状況や健康状態が明らかになったとし「貧困の連鎖を断ち切り、次世代の沖縄を担う人材育成に取り組む」とのコメントを出した。