道路冠水、車中で一泊 沖縄県出身与儀さん「想定外の被害」 西日本豪雨


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 沖縄県出身者も西日本豪雨の危険に直面した。北谷町出身で広島県に約38年住む与儀兼三さん(61)は6日夜、自家用車で移動中の道路が冠水。前方、後方のどちらにも動けなくなり、車内で一夜を明かした。広い範囲で被害が発生し、多くの犠牲者も出ている状況に「まさかここまで甚大な被害をもたらすとは想定外だった」と強調した。

 広島県林業改良普及協会の事務局長を務める与儀さんは、5、6の両日は鳥取県へ出張に行っていた。6日、鳥取からバスで自家用車を止めてある東広島市に戻り、同日午後5時ごろ、自宅のある広島市東区へ向かった。国道の渋滞を避け普段とは違う川に近い経路を走った。

 しかし、走行中に川が豪雨で増水し、夜の暗闇の中を自動車で移動するのは危険だと判断した。安全な位置に車を止め、落ち着いて仮眠を取りながら夜が明けるのを待った。車内から自宅の妻へ「今日は帰れないかもしれない」とメールで連絡した。朝になって、何とか通れる道を探して自宅まで無事に帰れたという。「いつもは40分で着くのに、16時間もかかった」と明かす。

 与儀さんは「これまでの豪雨災害は、ゲリラ豪雨のような局所的な大雨で局部的な被害だった。今回のように広範な被害は初めて。復旧にどれだけかかるのか」と話し、災害へ備える大切さを実感していた。