遺骨84人分を年内鑑定 厚労省、沖縄戦遺族326人と照合


この記事を書いた人 大森 茂夫

 【東京】民間人を含む沖縄戦戦没者遺骨の身元を特定するDNA鑑定について、厚生労働省が、6月末までに申請した遺族326人と犠牲者84人との照合を年内に終わらせ、結果を通知する方針を17日、明らかにした。大学などに委託している検査費用の単価を増額するなどして検査の迅速化を図っている。要請で厚労省を訪れた沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表(64)らに対し、高木美智代厚労副大臣らが答えた。

 ガマフヤーは同日、海外で犠牲になった県出身戦没者の遺族を加えた第3次分のDNA鑑定希望者83人分の名簿を提出するとともに、慰霊の塔内にある遺骨のDNA鑑定推進や、鑑定体制の強化も求めた。

 年内に鑑定対象となる遺族は「ガマフヤー」が昨年12月までに2回にわたって提出した集団鑑定希望者と、県などを通じて要望があった計326人分。県内10地区で収容された84人分の遺骨と照合し、身元の特定につなげる。

 要請後、取材に応じた具志堅さんは「取り組みが進んでいることを感じた」と厚労省の対応を評価した。一方、現在検査対象となっている遺骨がDNA鑑定がしやすい歯が残っている84体分にとどまっていることから「沖縄戦戦没者のごく一部。頭蓋骨が吹き飛ばされるなどして歯が残っていないものは対象から外れている」とし、四肢の骨もDNA検査の対象とするよう求めた。