貸し車いす常時不足 那覇空港、国際通り 観光客ら利用増


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観光客向けの貸出用の車いすを整理するバリアフリーツアーセンターの職員=17日、那覇空港

 県内を訪れる観光客の増加とともに、車いす利用を希望する高齢者や障がい者が増え、貸出用の車いすが不足する事態が生じている。那覇空港や国際通りなどの拠点で車いすを貸し出す「NPO法人バリアフリーネットワーク会議」(親川修理事長)は、那覇市観光協会やホテルなどと連携し、貸出用の車いすを融通し合っているが、それでも連日、10~20台が不足している。高齢者や障がい者も観光を楽しめるよう車いすの需要が増す中、必要な台数の確保が課題となっている。

 県は2007年2月、高齢者や障がい者、妊婦など「誰もが楽しめる優しい観光地」を目指す「沖縄観光バリアフリー宣言」を発表した。宣言に沿い、県観光振興課は、バリアフリーで楽しめる沖縄観光の良さを県外へ発信し認知度の向上に取り組んできた。こうした効果もあって、車いす利用の観光客も増加。バリアフリーネットワーク会議が国際通りや那覇空港で貸し出した車いすの台数は、2017年度に延べ791台と、07年度の47台から大幅な伸びを示し、過去最高となった。

 バリアフリーネットワーク会議では、貸出用車いすを30台所有。需要に応じて増やしていく予定だが、予算に限りがある中で供給が追い付いていないという。

 同会議の小濱哲会長は「障がいのある人も安心して沖縄での観光を楽しめるようにしたい」と強調する。台数が不足する事態について「できる限りないようにしているが、(貸し出しを)断る場合もある」と明かし、台数確保へ企業や行政などの支援も求めていきたいとしている。