直撃も勢力強まらず 台風続き、海水温低く 強い高気圧、空気乾燥


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沖縄本島に接近した際の気象衛星からの台風10号の画像。雲が少なく、台風の目がはっきりしない状況だった=21日午前8時40分ごろ(ひまわりリアルタイムWebより)

 台風10号は21日、沖縄気象台の予報通りの経路を進み、沖縄本島を直撃した。しかし、勢力は想定よりも発達せずに風や雨の影響は限定的だった。気象台は、発達しなかった背景に(1)海水温が低かった(2)乾燥した空気の経路を通過した―の2点を挙げる。

 海水温の低下は、6月から7月にかけて台風が繰り返し沖縄付近を通過したことで、海水がかき混ぜられたことが要因とみられる。気象台によると台風は通常、温かい海水の熱エネルギーを受けて発達する。しかし、21日の沖縄周辺の海水温は平年より2度低い27度の地域があり、海水の熱エネルギーが少なかった。

 空気の乾燥は、日本列島を覆う強い高気圧の影響がある。湿った空気となる台風周辺では通常、水蒸気が雲や水になる「凝結」が起きる時に熱エネルギーが生じ、積乱雲が発達して降雨量の増加につながる。しかし、今回は湿った空気に乾燥した空気が混ざって十分な凝結が起きなかった。その結果、気象衛星の画像で確認しても、雲が少なく、台風の目もはっきりしない状況となり、雨も少なかった。

 勢力が発達しなかった台風10号は21日、暴風域がないまま本島地方を通過した。ただし暴風が吹く予測は継続していたため、気象台は暴風警報を発表した。

 風の強さは台風の中心付近よりも東側の方が強い特徴があった。北東側から東側にかけて気圧の傾きが大きい構造となったことが影響した。このため、台風が直撃した本島よりも、東側に位置した大東島地方の方が最大瞬間風速や最大風速も強くなった。