福祉車両で乗船 マルエーフェリー、車いす拒否問題改善


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 2017年3月に那覇港―大阪間を運航するマルエーフェリー(鹿児島県)が、脳性まひのため電動車いすを利用する大久保健一さん(41)=兵庫県=の乗船を断った問題で24日、同社が改善のため整備した福祉車両を活用し、大久保さんが那覇港から鹿児島行きのフェリーに初めて乗船した。

 大久保さんは本紙取材に「車いす利用者に対する理解が深まったと感じる。今後さらに、私たちが自由に移動できる環境が整備されてほしい」と語り、障がい者の移動の自由が保障される社会に期待した。

 乗船拒否を受け、大久保さんは17年5月、「沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例」(共生条例)に基づきあっせんを県設置の調整委員会に求めた。

 同社は、同年8月までに鹿児島航路と阪神航路のフェリー計3隻に、ワンボックス車の後部にスロープを付け、車いすを運ぶことができる福祉車両を設置した。港の待合室から船内までの送迎が可能となり、利用者は船に続くタラップや段差の有無に関係なく乗船できる。同社によると、すでに複数の車いす利用者が福祉車両を活用したという。

 フェリーに福祉車両で乗船した大久保さんは「車いすでも問題なく船に乗ることができた。トイレなどの設備にも不自由は感じない」と話した。

 大久保さんは15年にも電動車いすの使用を理由にジェットスター・アジア航空から搭乗拒否をされた。日弁連へ人権救済の申し立てを行うなど、障がい者差別の解消を目指して行動している。