台湾に米軍 必要性否定 台湾外交部長「防衛は自己責任」


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台湾の防衛について「自己責任がある」などと語る呉釗燮外交部長

 【台湾で仲村良太】台湾の呉釗燮外交部長(外相)は7月30日、琉球新報などの合同取材に応じ、米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)のジョン・ボルトン氏が提案した在沖海兵隊の一部の台湾移転について「防衛は台湾に自己責任がある。しっかりと自分の国の安全を防衛し、守っていかなければならない」と述べ、中国の南シナ海などへの海洋進出を懸念しながらも、米軍駐留の必要性を否定した。

 ボルトン氏の提案は昨年1月、米紙ウォールストリート・ジャーナルに「日米関係を悩ます沖縄から、少なくとも一部米軍を(台湾に)再配置すれば、ワシントンは東京との緊張を緩和するのに役立つかもしれない」などと寄稿。米国の台湾への武器輸出を増やし、東アジアの軍事力強化につながると主張した。1979年に撤退した在台米軍の復活を主張した格好となった。
 ボルトン氏は当時、大統領補佐官ではなかったが、国務副長官への起用案が浮上するなど、トランプ氏の外交政策に影響を与える可能性も指摘されていた。

 呉氏はボルトン氏の寄稿に対する見解を本紙に問われ、親台派のボルトン氏は「親友だ」と紹介。台湾と米国の事実上の軍事同盟に当たる「台湾関係法」の存在があるとして「台湾の安全はアメリカと密接な関係がある。アメリカの協力に感謝している」と説明した。その上で「防衛は台湾に自己責任がある」などと述べ、米軍の台湾への再配備の必要性がないとの見解を示した。

 在沖米軍については「沖縄はこの地域の平和と安定に大変重要な、キーポイント的な役割を果たしている。沖縄の位置付けをどう見るかという問題にも関わってくる」とも指摘し、在沖米軍の存在についても理解を示した。また、台湾と日本は中国の軍事的脅威に直面しているとの見方を示し、日台の安全保障当局間が対話すべきだと主張した。