県、聴聞延期拒む 防衛局に「期間は妥当」 投入前の撤回焦点  辺野古埋め立て承認


この記事を書いた人 大森 茂夫
土砂投入が予定されている「N3護岸」と「K4護岸」がつながった埋め立て区域「2-1」=7月26日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(小型無人機で撮影)

 県は6日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡る辺野古沿岸部の埋め立て承認撤回に関し、沖縄防衛局側の言い分を聞く「聴聞」を延期するよう求めた同局の要求を拒否することを文書で回答した。県が当初指定した9日に聴聞を実施する。一方、9日の後も聴聞を続けるかどうかについては、県が判断するとした。8月17日の土砂投入予定日が迫る中、県が指定した期日の聴聞に防衛局が応じるかどうか、注目される。

 県海岸防災課職員は6日、県庁を訪れていた防衛局職員に回答文書を手渡した。県は防衛局が延期を求めた根拠を確認し「出頭できない、または困難な病気その他のやむを得ない理由」に該当しないと指摘した。

 防衛局が聴聞手続きの期間が足りないと訴えていたのに対し、県は妥当な期間だと反論。根拠として総務省行政管理局編「逐条解説 行政手続法」などの文献を挙げ「当該手続きを終えるためには一定の期間(通常一週間から10日程度)を要する」「『相当の期間』は一週間から二週間程度であろうか」との記述があると指摘した。さらに「事業者の属性として対応能力に特に欠けているとは考えられない」と強調した。

 防衛局は、県が産業廃棄物処理業者に対して聴聞を実施した際に延期を認めたことを挙げて「均衡に欠ける」と指摘していた。これに対し、県新基地建設問題対策課の多良間一弘課長は「事業の種類や処分の中身が異なる。単純に比べることはできない」と述べた。

 防衛局は本紙の取材に「行政手続法では聴聞の期日に出頭するか、これに代えて陳述書などを提出することができるとされている。検討して適切に対応したい」と答えた。

 翁長雄志知事は7月27日に埋め立て承認撤回の方針を表明し、聴聞手続きに入るよう担当職員に指示した。県は同31日に防衛局に対し8月9日の聴聞実施を伝えた。防衛局は3日、1カ月程度の準備期間が必要だとして9月3日以降に延期するよう申し出ていた。