沖縄県知事選 佐喜真氏出馬 振興への期待 前面に 移設是非より跡利用を柱


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<解説>
 宜野湾市長の佐喜真淳氏が9月30日投開票の知事選への出馬を正式表明した。会見では、選挙戦の最大の争点となる辺野古新基地建設には触れず、基地の跡地利用や教育、福祉政策の充実などを前面に打ち出すなど、沖縄の経済振興に対する県民の期待感を選挙戦の原動力にしたい考えを示した。

 記者団に辺野古移設の是非を問われた佐喜真氏は明言を避けた上で「何よりも普天間飛行場の返還、危険性の除去を考えていくべきだということを宜野湾市長として申し上げる」と持論を展開。「跡地利用を次の世代へしっかりバトンタッチする」「跡地利用をダイナミックに具体化していく段階に来ている」と述べるなど、沖縄の未来像を政策の柱に据える考えだ。

 県内知事選の出馬表明会見は従来、保革に関係なく、後援会や政党幹部、支持者らを動員して実施されてきたが、この会見は、佐喜真氏が単独で臨む異例の形式を取った。翁長雄志氏の死去を受けた対応で、会見でも「国との関係などにおいて、争いが絶えず、ひずみや分断が生まれてしまった」とだけ述べ、終始、翁長県政に対する批判を控えるなど、知事選への影響を最小限に抑えたいとの狙いが透けて見える。

 佐喜真氏は市長としての行政経験や知名度の高さから政権幹部からの評価も高く、「沖縄保守政界の次代を担う有望株」として存在感を発揮してきた。会見では、施策実現のためには「沖縄だけでできるものではない。国との関係を改めて構築することが欠かせない」と、随所に国との信頼関係の重要性を訴えた。

 一方、翁長氏が約束した辺野古埋め立て承認撤回に、県がいつ踏み切るかが焦点となっている。佐喜真氏が今後発表する政策で、撤回を含めた辺野古問題にどう取り組むかが注目される。
 (吉田健一)