爆音「気 狂いそう」 嘉手納訴訟原告が日誌 苦しみ、怒りの日常つづる


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 【中部】第三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団は、米軍機の騒音被害などについて原告自身が実態を記録する「爆音日誌」(4月12~6月末分)を16日までにまとめた。日誌からは睡眠を妨害されたり、家族との会話が中断されたりするなど、日常生活の中で米軍機騒音に苦しみ、怒る原告の実態が浮かび上がった。原告団は今後もアンケートで詳細な状況を聞き取りながら、騒音が生活に与える影響の記録を続ける考えだ。

 原告団は騒音数値からは見えにくい、騒音に苦しむ住民の感覚を記録することなどを目的に初めて実施している。原告団は、原告7千世帯に用紙を送り、約2600件分の日録を回収した。日録には「気が狂いそう」「夕食どきにうるさい!」「ひっきりなしに飛ぶ爆音にうんざりです」と切実な声が書かれていた。

 米軍機騒音を聞いたときの感想を選択肢を設けて尋ねたところ「わじわじー」と「イライラ」の計1670件だった。「テレビやラジオ、会話が妨害された」とするのは729件、「墜落の不安を感じた」が696件だった。米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が墜落した6月11日には「戦闘機墜落恐怖」と記された日誌もあった。

 米軍機騒音の回数も数えている。1日で100回を超える数を記録した人もいた。深夜の騒音も記録されており、起こされて記入した様子がうかがえる。最も騒音が確認されたのは午前6時~正午の時間帯だった。夜勤で働く人からは「睡眠が妨げられる」という声があった。騒音の影響で夜間の運転代行の仕事を辞めたという報告も原告団に寄せられた。正午すぎの騒音は、高齢者や乳幼児が昼寝をできないという状態を生んでいる。

 原告団長の新川秀清さん(81)は「日常的な生活が脅かされていることが記されていた。人間としての権利が踏みつぶされている実態がある。せめて静かな夜を、という戦いの原点をさらに追求しながら、歩んでいきたい」と語った。
 (安富智希)