通知日 土砂投入なし 新基地 市民ら海・陸で抗議集会


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 【辺野古問題取材班】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設を巡り、沖縄防衛局が当初通知していた土砂投入開始日の17日を迎えたが、土砂投入は確認されなかった。護岸の工事や米軍キャンプ・シュワブへの資材の搬入などの作業も確認されなかった。一方、新基地建設に反対する市民らは予定地の辺野古沖などで抗議活動を展開し「基地は造らせない」と訴えた。

 海上では、オール沖縄会議現地闘争部主催の辺野古集中行動2日目として、市民ら約60人が抗議船3隻、カヌー約40艇で周辺海域に繰り出した。抗議した市民らは翁長知事に黙とうした後、海上保安庁の船が監視する中、「海を守ろう」などと書かれたプラカードを掲げて「違法工事をやめろ」「サンゴを殺すな」とシュプレヒコールを上げた。海上行動後、辺野古浜で「土砂投入を許さない浜集会」が開かれ、450人(主催者発表)が参加した。

 防衛局は6月、8月17日以降の土砂投入を県に通知した。ただ、政府は荒天が続き準備が整っていないとして、着手を見送る方針を固めている。

 連日抗議活動が行われている米軍キャンプ・シュワブのゲート前でも約200人の参加者が座り込みやデモ行進した。沖縄平和運動センターの山城博治議長は「皆の力で基地建設を止めていくことを確認しよう」と呼び掛けた。ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は9月30日投開票の知事選に触れ「争点は『辺野古』だ。団結して絶対に辺野古に基地を造らせないために頑張っていこう」と協力を求めた。

 市民らは国による土砂投入がなかったことを喜んだ。名護市から参加した成田正雄さん(65)は「翁長さんの遺志を、一人一人が受け継いでいこう」と訴え、市民らは拍手で応えた。

 県は、翁長知事が表明した埋め立て承認の撤回に向けた準備を進め、撤回時期についても検討している。政府は、工事の即時停止につながる撤回を延期するよう求めた経緯もあり、翁長知事の死去に伴う県知事選を見据えた神経戦が続く。

プラカードを掲げ、抗議する市民ら=17日、名護市の米軍キャンプ・シュワブゲート前
「違法工事をやめろ」と声を上げ工事に反対する市民ら=17日、名護市辺野古海上