脳性まひの息子のために きょうだい間の臍帯血移植実現を


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
脳性まひの後藤万然君(右)へのきょうだい間臍帯血移植に向けて任意団体を立ち上げた道雄さん(中央)と妻典子さん=北中城村

 脳性まひの症状改善などに向けて、きょうだい間での臍帯血(さいたいけつ)移植の実現を目指す任意団体「さい帯血による再生医療推進ネットOKINAWA」が沖縄県で18日発足し、北中城村で勉強会が開かれた。国内で脳性まひの患者に本人の臍帯血を移植する臨床研究は高知大学医学部などで進んでいるが、きょうだい間の移植は国内で例がない。団体は脳性まひの後藤万然君(6)の父・道雄さん(67)が代表になり、きょうだい間での臍帯血移植の早期実現に向けて厚労省などへ働き掛ける考えだ。

 臍帯血はへその緒と胎盤に含まれている血液。赤血球や白血球などの血液を造る「造血幹細胞」が豊富に含まれており、白血病などの病気の治療法の一つとして臍帯血移植が実施されている。

 米デューク大などでは脳性まひの患者へ本人の臍帯血を移植する研究が進み、十分な量の臍帯血細胞の静脈投与によって運動機能や脳神経回路が改善することが明らかとなってきている。同大学では、きょうだい間の臍帯血移植も研究が進んでいる。

 後藤家の7番目の子どもとして生まれた万然君は、生後6カ月の時に高熱を出し、一命はとりとめたものの脳に重い障がいが残った。道雄さんの妻・典子さん(44)は現在10人目の子どもを妊娠しており、万然君の治療に向けて、きょうだい間の臍帯血移植へ取り組むことを決意した。

 18日に開かれた勉強会で後藤道雄さんは「交通事故だって、病気だって障がいを負うこともある。(臍帯血移植を広めて)沖縄でも難病の人が治せるような環境にしていきたい」と語り、県内で臍帯血の採取の認知度を向上させ、採取できる環境が整うよう活動していく考えを示した。