沖縄知事選 玉城氏擁立へ 「環境整えば決断」と意欲示す 県政与党が近く出馬要請


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沖縄県知事選について記者団の質疑に答える玉城デニー氏=19日午後10時、沖縄市

 9月30日投開票の沖縄県知事選に向け、県政与党は19日、8日に死去した翁長雄志知事が生前、後継として名前を挙げた2人のうちの1人である自由党幹事長の玉城デニー衆院議員(58)を擁立する方針を固めた。近く、正式に玉城氏に出馬を要請する。玉城氏は本紙に対して「環境が整えば、重い決断をせざるを得ない。県民の思いをほごにはできない」と語り、出馬に強い意欲を示した。同じく翁長氏が後継候補に指名した金秀グループ会長の呉屋守将氏(69)は19日夜、与党幹部に出馬を強く固辞し、玉城氏支持を表明した。知事選は、玉城氏と、自民党が擁立した佐喜真淳氏(54)による事実上の一騎打ちとなる見通しだ。

 与党は19日、那覇市の自治労県本部で調整会議(照屋大河議長)を開き、後継指名された玉城氏と呉屋氏のいずれかを擁立することを決めた。会議終了後、照屋議長ら正副議長と新里米吉顧問(県議会議長)の5人が玉城、呉屋の両氏に出馬の意向を確認した。照屋氏らに対して呉屋氏は固辞し「経済人の立場として玉城氏を支えたい」と伝えた。

 一方、玉城氏は「重く受け止める。支援者らと協議して返答したい」と応じ、22日までには結論を出す考えを示した。玉城氏は20日にも後援会幹部を集めて対応を協議する。関係者によると、玉城氏が所属する自由党の小沢一郎共同代表は玉城氏に出馬を促しているという。

 一方、知事選への出馬に意欲を示していた赤嶺昇県議は19日、記者団に対して「翁長知事の遺志は重い。2人(玉城、呉屋の両氏)のいずれかが候補になることがベストだ」と語り、選ばれた候補を支援する考えを示した。

 翁長氏が残した音声は17日夜に、翁長氏の遺族関係者から新里顧問に伝えられた。関係者によると、翁長氏は録音された音声で「デニーさんは勝てる候補として考えていた。呉屋さんも期待している。呉屋さんなら一つにまとまると思う」などと話していたという。後継指名以外にも、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設に対する対応など、県政が抱える課題などについて翁長氏が語った音声も残されている。

 自民党などが支援する保守系候補としての出馬を表明していた元沖縄観光コンベンションビューロー会長の安里繁信氏(48)は19日、出馬辞退を表明し、出馬を正式表明している佐喜真氏を支援する考えを示した。

 玉城 デニー氏(たまき・でにー) 1959年10月13日生まれ。うるま市出身。上智社会福祉専門学校卒。沖縄市議を経て2009年に衆院沖縄3区で初当選。現在4期目。本名は玉城康裕(やすひろ)。