県内耕作放棄地が最大 17年、前年比16.4%増3816ヘクタール


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 沖縄県農林水産部は28日、2017年の県内耕作放棄地(荒廃農地)状況を発表した。放棄地の面積は速報値で前年比16・4%増の3816ヘクタールになり、調査を始めた08年以来、最大の広さになった。タブレット端末を使用して調査の精度が上がり、放棄地の把握が進んだ。新たな農地を求める就農者もいるが、土地所有者の賃貸への抵抗感や農地の悪条件もあり、放棄地の解消には課題が立ちはだかる。

 全体の放棄地のうち、再生利用が可能な面積は2345ヘクタール、原野化するなど再生が困難と見込まれる農地は1471ヘクタールあった。前年から再生された農地は447ヘクタールあった一方、新たに把握された放棄地などは984ヘクタールに上った。

 地区別では、北部が1346ヘクタールで最も広く、八重山が1100ヘクタールと続いた。中部は703ヘクタール、南部は415ヘクタール、宮古は253ヘクタールになった。後継者への引き継ぎが比較的順調な宮古を除き、全ての地区で放棄地が増加した。

 所有者の土地保有の意識が強く賃貸が進まないこと、小さな面積で分散した農地や傾斜地、排水条件の悪さなどもあり、解消への道筋は見通せない。県は各地域にある農業委員会を通じて所有者へ農地利用の意向を確認し、利用しない場合は貸し付けを促す方針だ。島尻勝広部長は「耕作放棄地再生利用緊急対策交付金などを活用して、農地の再利用の促進を図りたい」と述べた。