島でエネルギー地産地消へ 久米島プロジェクト、有識者ら調査


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 沖縄県久米島町で町内でのエネルギーの地産地消を実現させる「久米島シュタットベルケプロジェクト」が進められている。再生可能エネルギーを活用しながら使用電力を賄うほか、廃棄物も町内で処分できる地域を目指す。有識者や同町関係者らによるプロジェクト検討委員会も組織され、今後は実現に向けた調査が進められる。離島の自立型エネルギーシステムを確立できれば、アジアの島しょ国での活用も期待できる。

 久米島町は現在、町内で使われる電力のほぼ全てをディーゼル火力発電所で賄っている。プロジェクトでは、風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーの設備を整備して、島内のホテルや公共施設に電力を供給することを想定している。太陽熱を利用した給湯システムなども取り入れる方針で、将来的にはエネルギー関連事業の運営に自治体が携わることも視野に入れている。既存の発電所とも協力する方針で、バランスの取れた形で電力供給ができるようにする。

 プロジェクトの実現可能性を検証する調査も今月から始める。琉球大学の教授や企業の関係者で構成する調査チームが、久米島町内のエネルギー需要や再生可能エネルギーの利用状況などを調べ、来年1月末までに報告書をまとめる。報告書の完成後はマスタープラン(基本計画)の作成など事業化に向けた準備を進める。

 プロジェクト検討委員会の瀬名波出委員長(琉球大工学部教授)は「世界でも例がないような、島しょ地域の環境マネジメントができるはずだ。いいモデルができたらアジアや南太平洋の島しょ地域にも持って行ける」と期待を込めた。