サッカーに恩返し 指導20年超の藤川さん、闘病経て学童大会企画


社会
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プレーを見守る藤川克馬さん(左)=1日、浦添南公園多目的広場

 【那覇】「めざせ日本代表!第1回ドリームチャレンジカップU10サッカー大会」(那覇市サッカー協会少年部真和志ブロック主催)が1、2の両日、沖縄県の浦添南公園多目的広場を主会場に開催された。那覇市内の16チームが出場した。大会は、少年サッカーに約25年間関わっている藤川克馬さん(64)=那覇市=が企画した。「少年サッカーに恩返しがしたい」と、大会参加費は那覇市内の3小学校に寄贈する図書券2万円と教材用サッカーボールに充てられる。

 藤川さんは1995年から、那覇市の大道小学校を拠点に活動する少年サッカーチーム「大道アレックス」の監督を務めている。サッカーは高校時代、同好会でほんの1年間やっただけで、ほとんど無縁だった。監督を務めたきっかけは次男がサッカーを始めたことだった。

 最初は保護者として、チームに関わっていたが、知人だった当時の監督から後任の指名を受けた。サッカーを教える知識もほとんどなかったが、「子どもたちがいるから断るわけにもいかなかった」と振り返る。試合会場で他チームの練習を見てまねることから始まった。コーチなどの協力もあり、その後、チームは県大会で連続8強や準優勝などの好成績を残した。

 少年サッカーを「人生の中で大きな出会いだった」と話す藤川さんだが、15年12月に直腸がんが見つかり、グラウンドから離れることとなった。病床で「元気になれば、また子どもたちとサッカーを楽しめる」との思いで病と闘った。

 グラウンドに復帰して感じたことは「ここにいる自分が一番だ」ということ。試合中の表情は厳しいが、選手のことを笑いながら話す表情は柔らかい。「技術は教えられないが、いい子どもとしてチームを卒業してほしい。友人を大切にすることや人の話をしっかり聞くことなどを教えたい」と語る。

 闘病中、藤川さんは「子どもたちに何かを残せないか」と考え、大会を企画した。サッカーをしていない子どもたちにも読書を通して夢を見つけてほしいと、図書券を寄贈することにした。大会会場では西日本豪雨災害の被災地への募金活動もした。「子どもたちが社会貢献をする場をつくりたかった」と話す。藤川さんは「協賛社や周囲の人の理解で開催することができた。これからも先頭に立って、やっていきたい」と意欲を見せた。 (安富智希)