くらし

指導でなく寄り添う支援を 若年妊産婦の居場所考える

「当事者の思いに耳を傾けて」と話す琉球大学教育学研究科の上間陽子教授=3日、沖縄市民会館中ホール

 沖縄市の「若年妊産婦の居場所」開設を記念した講演会が3日、沖縄市民会館中ホールで開かれた。講師の1人の琉球大学教育学研究科・上間陽子教授は、10代の母が「『居場所』を利用するかどうかは、支援する人の寄り添い方次第だ」と指摘した。教師のように「指導する」態度ではなく、利用者に寄り添い、思いを聞き取る姿勢の大切さを訴えた。民生委員や支援に携わる人など約200人が来場し、熱心に耳を傾けた。

 県内の子どもの貧困の割合は全国の約2倍、また県内の若年出生率も全国の2倍に上る。上間教授は「10代の子どもたちの妊娠・出産が貧困に結び付きやすいのは、支援が足りないからだ」と指摘し、学業の中断を強いられたり、時給800円単位の非正規雇用で長時間労働をしながら子育てをしたりする若者に対しての支援の必要性を訴えた。

 未成年の少女たちの研究や支援を行う上間教授によると、出産後の生活は多様で、籍を入れていなくても自分の母親や親戚との関係が良好で周囲の支援を得ながら子育てができるケースもあれば、結婚後パートナーが育児をせずに1人で育てているケースもあるという。ミルクを買うお金を得るために、援デリの男性客を探していた母親の話を例として挙げ、支援につながらない10代が子どもを産み育てていくことの厳しさを訴えた。

 さまざまな状況を抱える若年妊産婦の支援で求められる心構えについて「指導しようとしないこと」と上間教授は指摘した。子どもたちの中には親や教師との関係がうまくいっておらず、育ちの中で信頼できる大人と出会っていないことがあるという。「当事者は、生活の中でなんとか良い方法を探している。学校の教師のように“教えよう”という態度で振る舞うと失敗する」と指摘し「当事者の思いに耳を傾け、声を掛けてほしい」と話した。

 また、上間教授によると10代で母になる道を選ぶ理由に「寂しかった」と話す人が多いという。「(自分の)母親よりもちゃんと子どもを育てる」という強い決意を持つ場合のほか、ママ友など人とのつながりを求めていることもあるといい、思いに寄り添った支援をしてほしいと話した。


「信頼できる人がいる所が居場所になる」と話す日本こどもみらい支援機構の武藤杜夫代表

 引き続き講演した、日本こどもみらい支援機構の武藤杜夫代表は、紹介やSNSを通じて助けが必要な子どもを探し出す「ディスカヴァー型」の支援を行っている。深夜徘徊(はいかい)をする子どもたちに声を掛け、話を聞き続けている。武藤代表は「信頼できる人がいて、安心して過ごせる所が居場所となる」と話し「笑顔でしっかりと話を聞くことから始めるのが大切だ。息の長い関わりをしてほしい」と訴えた。

◆沖縄市で7人利用

 「若年妊産婦の居場所」は、10代の母親が孤立することなく安定した生活を営むための支援を行おうと、沖縄市が内閣府の補助金を受けて県助産師会母子未来センターに開所した。沖縄市内の18歳までの妊産婦を対象に、妊娠・出産、育児のサポート、母親自身の自立に向けて就学、就業支援も行う。7月のプレ開所以降7人が利用、ベビーマッサージや妊婦体操、食事の作り方など、利用者のニーズに合わせて栄養士や助産師、保育士などの資格を持つ職員が対応している。問い合わせは(電話)098(939)1252(沖縄市役所こども相談・健康課母子保健係)。