「頼る人いない」1割 名護以北6市町村ひとり親世帯アンケート


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出川聖尚子准教授

 【北部】名護市以北の沖縄本島北部6市町村のひとり親世帯を対象にした2017年度アンケートで、「頼れる人がいない」との回答が12%だったことが14日までに分かった。「頼れる人がいる」は86%。「暮らしの中でゆとりがある」傾向のうち「頼れる人がいる」の回答は91・1%に対し、「ゆとりがない」傾向のうち「頼れる人がいる」は78・4%と、10ポイント以上低かった。調査した熊本学園大学子ども家庭福祉学科の出川聖尚子准教授は、暮らしのゆとりと、頼れる人の相関関係を指摘し、ひとり親世帯の課題解決に向けて「信頼を築ける人との関係づくりが求められる」と指摘した。

 調査は2017年8月1~31日、各市町村の現況届提出時の窓口で配布し、その場で回収した。1633件配布し、回収数は767件、回収率は46・9%。6日に名桜大学で開催された「やんばる発 地域で支える力をつくろうフォーラム」で、出川准教授が報告した。

 調査結果の世帯構成は母子世帯が85%、父子世帯が9%、養育者世帯4%、その他が2%だった。

 「暮らしの中のゆとり・日頃ゆっくりのんびりできているか」との質問に「できていない」は18・2%、「あまりできていない」は36・3%で、ゆとりのない傾向は約54%と半数を超えた。「ままできている」は36・6%、「できている」は6・7%で、ゆとりのある傾向は約43%だった。「必要ない」は0・1%。

 「現在の心配ごと」(複数回答)では「経済的なこと」が65・5%と最多。「子育て」が42・3%、「子どもの将来」が33・2%、「仕事」が24・4%、「自分の体調」が19%などと続いた。

 親に対して、第1子出産と小学生の頃についても質問した。その当時の頼れる人の有無、小学生時代における地域行事への参加の有無なども尋ねた。出川准教授は「頼れる人の存在や子どもの頃の豊かな経験が、多くの項目に影響を与えているとみられる。頼れる家族や親族の有無は、個人ではどうしようもない場合もある。周囲と信頼関係づくりができる環境を、社会がつくることが求められる」と強調した。