「伝えられない」つらさ共感 安室さんから元気 脳性まひ古堅さん


この記事を書いた人 大森 茂夫
大好きな安室奈美恵さんのポスターを前に、はじけんばかりの笑顔を見せる古堅真由美さん=8月23日、那覇市内

 脳性まひのため電動車いす生活を送る古堅真由美さん(46)=石垣島出身=の自室の壁には、大好きな安室奈美恵さんのポスターが2枚貼られている。那覇市内の施設に入居し、自由に外出することができない古堅さんにとって、安室さんの音楽映像を見たり、施設のカラオケで「Don’t wanna cry」を歌う時間が何よりの楽しみだ。古堅さんは人さし指で文字盤をなぞり、思いを伝える。「安室さんにたくさん元気もらった。ありがとう」

 古堅さんは未熟児で生まれ、幼い頃から体が不自由だった。だが、持ち前の明るい性格と旺盛なチャレンジ精神でさまざまなことに積極的に挑戦している。おしゃれとスポーツが大好きで、高校野球と読売巨人軍の大ファンだ。自身も車いすマラソンの競技大会に長年出場し、これまでにたくさんのメダルを獲得した。安室さんとの出会いは20年以上前。地元の音楽番組でかっこよく歌い、踊る姿を見て「とてもすてきな人」だと思った。ダンスと歌がうまく、25年間変わらない美貌とぶれない精神に魅力を感じるという。

 新曲やアルバムが出る度に購入し、就寝前などに一人じっくりと歌詞を確かめながら安室さんの歌声に聞き入る時間がお気に入り。一度はライブに行ってみたいという思いはあったが、大音量は苦手。「いつも沖縄から応援することにした」と話す。

 うまく発語できず、気持ちを伝えるのに文字盤が必要な古堅さんは、スーパースター故に多くの制限がある安室さんに自身の姿を重ねる。

 「きっと苦しいことたくさんあった。思いを伝えられない苦しみが分かる。いつか安室さんの愚痴を聞いてみたいな」。照れ笑いする古堅さんは、大好きな安室さんの毎日が平和で穏やかなものであるよう願っている。