LGBTなど性的マイノリティーが生きやすい社会を目指すイベント「ピンクドット沖縄」が16日、那覇市牧志のてんぶす那覇前広場で開かれた。ピンク色のものを身に着け、主催者発表で約3千人が参加。LGBT当事者やアライ(賛同者、理解者)らのトークショーや写真展を通し、「誰もが自分らしく生きられる社会」について考えた。
実行委員会の主催で6回目。趣旨に賛同する企業は昨年より3割増加し、過去最高の100社を数えた。会場には八つのブースが設置され、那覇市や企業、市民団体が啓発パンフレットを配布するなどした。
「自分らしく生きる」などをテーマに、3部に分けてトークショーがあった。登壇した女優の東ちづるさんは「子どもの頃から理解し合う環境が大切。もしカミングアウトされたら、驚かずに『言ってくれてありがとう』と話してほしい」と呼び掛けた。中高生や海外からの参加者もあり、熱心に聞き入っていた。
性的マイノリティーにスポットを当てた写真展「OUT IN JAPAN」が県内で初めて開催され、ポートレート130点が並んだ。
フィナーレでは、ピンク色のカーペットが50メートルにわたって国際通りに敷かれ、参加者が笑顔でハイタッチしながら歩いた。荒井達也・共同代表兼実行委員長は閉会宣言で「全ての人が、当たり前のことを当たり前にできる社会にしたい。今後も一歩一歩進んでいく」と強調した。
ステージ、テントの屋根、飾りのバルーン…。16日に那覇市で開かれた「ピンクドット沖縄」では、参加者の衣服だけでなく、会場全体がピンク色に染まった。性的マイノリティーも当事者を取り巻く人々も、分け隔てなく全ての人が暮らしやすい社会の実現を願った。
ステージ周辺には市民団体や企業など15団体がブースを設置。性の多様性を意味するレインボー(虹色)やピンク色のグッズなどを販売したり、配布したりした。性的マイノリティーの問題を起点に人権について考え、発信する市民団体「てぃーだあみ」のブースでは、性の多様性について語り合う交流会などのチラシを置いた。共同代表の竹葉梓さん(39)は、イベントに来ると勇気づけられる一方、その日が終わるとまた現実に直面する当事者もいると指摘。「来て良かったと思えるよう、日常に役に立つ情報を届けられたら」と話した。
初めてパートナーと参加した10代の女性=うるま市=は、ブースで買った虹色の缶バッジをトートバッグに付け「おそろいになった」とはにかんだ。最初は堅苦しいイベントのイメージだったというが、ピンクの服を着てにぎやかに過ごす参加者を見て「居心地が良い。のんびり過ごせる」とリラックスした様子。また「那覇市はパートナーシップ登録をしているが、地域限定な感じがする。場所を選ばずにパートナーとして認められるようになったらいいな」と話した。
トークショーに熱心に耳を傾ける高校生たちも。那覇高2年の大城希志穂(きしほ)さん(16)は、性的マイノリティーと思われる知り合いが身近にいるという。ダンス部の友人3人と部活後に訪れ、「こんなに盛り上がっていると思わなかった。何かピンク色のものを着けてくれば良かった」と悔しがった。