投票所の車いす未対応67ヵ所 スロープ設置進まず 沖縄県内投票所バリアフリー本紙調査


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 30日投開票の沖縄県知事選で市町村に設置される投票所のうち、少なくとも67カ所で階段などの段差があり、車いすに対応していないことが琉球新報社の調査で分かった。そのうち26カ所では、段差のある場所の移動を助ける簡易スロープも設置されておらず、車いす利用者の投票が困難な状況にある。聴覚障がい者に対応したコミュニケーションボードの提供など障がい者への配慮が取られる中、完全なバリアフリーの実現には至っていない。

 県知事選では県内41市町村で322カ所の投票所が設置される。琉球新報社は県内41市町村の選挙管理委員会に対し、バリアフリーの対応を尋ねる調査表を配布し、36市町村(投票所260カ所)が回答した。県脊髄損傷者協会が2014年に同様のバリアフリー調査を実施している。

 調査によると、回答があった36市町村のうち「段差なし(車いすに対応)」は193カ所だった。簡易スロープを設置しているのは77カ所だった。251カ所の投票所では、貸し出し用の車いすを用意している。

 投票方法などをイラストで説明するコミュニケーションボードの設置は、那覇市を中心に70カ所で導入され、徐々に広がりを見せている。半面、聴覚障がい者に対応した手話通訳者の配置は嘉手納町の1カ所にとどまっている。

 本紙調査について、県脊髄損傷者協会は「段差があり、スロープ設置がないのはハンディキャップを持つ県民にとって大きな問題だ」と指摘するとともに、「バリアフリーが十分に進んでいないために投票を諦める有権者もいる」として早急な対応を求めた。