[ココロ・カラダ不思議つながり]60 おなかの中で赤ちゃんどう育つ?


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Q.おなかの中で赤ちゃんどう育つ?

 

今日の質問は、
「おなかの中の赤ちゃんはどうやって栄養をもらっているんですか? どうやっておなかの中から出すのですか?」
です。小学4年生からです。

 

A.お母さんと協力し生まれる

 

安全で心地いい

おなかの中の赤ちゃんが育つ場所を子宮と呼びます。子宮は、自分の握りこぶしより少し小さいくらいの袋で、赤ちゃんがその中で育ち始めるとどんどん大きくなります。だから、子宮は人間が持っている中で一番丈夫な筋肉でできています。筋肉の袋の中に薄い袋(羊膜)があって、さらにその中には羊水と呼ばれる温かい水があり赤ちゃんを守っています。

赤ちゃんは、おへそにつながっている管(へその緒)を通じて必要な栄養や酸素をお母さんからもらいます。へその緒の先の子宮の壁にくっついている胎盤は、お母さんの血液から栄養や酸素だけを赤ちゃんの血液に取り込みます。

また、いらないものをお母さんの血液に渡す役割もします。よく「血のつながり」なんていうけど、血はつながっていないんです。だって、お母さんと赤ちゃんの血液型が違う場合もあるでしょ。違う血液型の血は一緒にできないんですよ。精子と卵子が合体してできた受精卵は、子宮の壁に自分でぎゅっとつかまる(着床)と胎盤やへその緒も自分で作っていきます。

ずっと羊水の中にいると、皮膚がはがれて羊水が汚れてきます。赤ちゃんはどうやってお掃除すると思う? 実は、羊水を飲んで、おしっこ(尿)を出してきれいにするんです。病気でなければ尿は無菌です。なので、自分の尿は遭難や災害など必要なときに飲むこともできます。いらないもので、お母さんに渡せないものはうんち(便)として溜めておいて、生まれてから外に出します。だから子宮の中は、温かくてきれいで居心地が良いのです。

いつ出るか自分で決める

子宮の中の赤ちゃんが十分に大きくなって外に出たいと思うと、お母さんに合図を送ります。いつ生まれてくるかを決めたのはみなさんなんですよ。お母さんは合図を受け取ると、子宮に陣痛を起こすよう命令を出します。

子宮の出口が少しずつ開いたり、子宮がぎゅっと縮んだり伸びたりすることで、赤ちゃんは子宮から押し出されます。陣痛が始まると内側の羊膜が破れて羊水が膣(産道)に出てきます。プールにある水の流れる滑り台は滑りやすいよね。羊水が産道を通りやすいように助けてくれるんです。

赤ちゃんも頭の骨を寄せて小さくしたり、身体もぎゅっと縮めて回転しながら、お母さんと協力して狭い産道を通って出てきます。赤ちゃんにとっても苦しいことですが、身体を縮めたときに肺の中にある羊水が押し出されて、肺で行う呼吸がしやすくなります。「おぎゃー」という泣き声は、初めての肺呼吸でもあるんです。

お母さんと赤ちゃんの安全のために、お医者さんが子宮を切って赤ちゃんを取り出すこともあります(帝王切開)。その場合は、お医者さんが赤ちゃんの肺から羊水を出すのを手伝ってくれたり、赤ちゃんも脳から「肺呼吸しなさい」という命令が出るので、ちゃんと肺呼吸することができます。

徳永桂子(とくなが・けいこ) 思春期保健相談士。

 心が生きると書く「性」、心が生きて交わる・お互いの心を生かして交わると書く「性交」の漢字の通り、子どもたちがありのままの自分を肯定できるように。豊かなパートナーシップを築けるように。みんなで明るく肯定的に性について語れたらいいなと思って活動中。

 新報小中学生新聞に「ココロ・カラダ不思議つながり」を連載中。著書に「からだノート~中学生の相談箱」(単著)「LGBTなんでも聞いてみよう~中・高生が知りたいホントのところ」(共著)など。
 

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ココロ・カラダ不思議つながり

 
徳永桂子・著/上原明子・イラスト
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