2候補 街頭最後の訴え 辺野古が最大争点 沖縄県知事選あす投開票


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 翁長雄志知事の死去に伴う第13回県知事選は一部の地域を除き30日に投票され、即日開票される。知事選は、無所属新人で前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=と、県政与党が推す無所属新人で前衆院議員の玉城デニー氏(58)が事実上の一騎打ちを繰り広げている。台風24号の接近により、街頭での選挙運動は28日が事実上の最終日となった。この日は、天候の悪い中、両候補は早朝から街頭に繰り出し、有権者に支持を訴えた。

(左から)支持を訴える佐喜真淳候補=28日午後、那覇市牧志 支持を訴える玉城デニー候補=28日夕、那覇市金城

 両候補は、名護市辺野古の新基地建設の是非を最大の争点に、米軍普天間飛行場の返還手法や経済振興、子どもの貧困問題、子育て支援などを巡り激しい舌戦を展開してきた。

 佐喜真氏は那覇市牧志のいとみね会館前で、29日の打ち上げ式に代わる「大演説会」を開催した。演説で「普天間飛行場の一日も早い返還を目指す。米軍基地の整理縮小、日米地位協定の改定は県民の悲願だ。知事となって、必ず前に進める」と訴えた。佐喜真氏は同日午前、名護市でも街頭演説をしたが、新基地建設には言及しなかった。

 玉城氏は那覇市金城のイオン那覇店前で打ち上げ式に代わる街頭演説を実施した。演説で「誰一人として取り残していかない。皆が助け合い、手を取り合って未来を築いていく」と強調。「沖縄にこれ以上、新たな基地は必要ない。辺野古新基地建設は体を張ってでも止める。戦争で奪われた普天間飛行場の土地は県民に返すべきだ」と訴えた。

 台風接近に伴い、うるま市の浜比嘉島など6島8カ所で28日、繰り上げ投票が実施された。29日までの期日前投票は、宜野湾市や南風原町など一部市町村で中止が決まっている。

 知事選には、無所属新人で琉球料理研究家の渡口初美氏(83)、無所属新人で元IT会社員の兼島俊氏(40)も立候補している。

◆佐喜真淳候補訴え 沖縄をあるべき方向へ

 責任ある政治家として、沖縄をあるべき方向に導くという強い使命感、県民と共に歩むことの共感を選挙戦で実感した。普天間飛行場は22年前の返還合意が原点だ。新たな未来のため普天間飛行場の一日も早い返還を目指してきた。米軍基地の整理縮小、日米地位協定改定は県民の悲願であり、必ず前に進める。残念なことに沖縄の子どもの貧困は全国の2倍だ。県民の暮らしが最優先だからこそ県民所得を300万円まで上げるよう努力する。あと3年半で復帰から半世紀。県民が一つになり新たな歴史、未来を一緒につくろう。

◆玉城デニー候補訴え 遺志継ぎ新時代つくる

 先祖から受け取ったウチナーンチュの文化、歴史、自然を慈しみ、未来の子孫に渡していく。これが誇りある豊かさ、翁長雄志知事が目指していた保守中道の政治の神髄だ。私は翁長知事の遺志を継いで新時代沖縄を未来に向かってつくっていく。これ以上新たな米軍基地は必要ない。翁長知事と辺野古新基地建設を認めず体を張ってでも止めようと固く誓い合った。普天間の原点は戦争で奪われた土地を返すことだ。米軍機の物体や窓枠が降ってくる青空ではなく、太陽を見上げられる青空を取り戻す。沖縄へ返せと堂々と主張する。