ウチナーグチで心つかめ 両候補者が演説で多用


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 「ユイマール」「ウチナーのチムグクル」「イチャリバチョーデー」。30日投開票の沖縄県知事選で事実上の一騎打ちを展開する佐喜真淳さん(54)、玉城デニーさん(58)の演説に耳を傾けると、どちらもウチナーグチを多用し“沖縄らしさ”を強調して訴え掛けてきた。沖縄語普及協議会顧問を務める宮良信詳琉大名誉教授は「ウチナーグチは有権者の沖縄らしい精神世界に訴え、共感を呼ぶ」と指摘した。

 那覇市内で街頭演説した佐喜真淳さんは23日、「ウチナーンチュのイチャリバチョーデー、チムグクルを大切にしたい」と訴えた。沖縄の県民性は「対立や分断ではない」と強調した。

 玉城デニーさんも22日の総決起大会で「ウチナーの将来はウチナーンチュが決めるか、ヤマトの言いなりになるのかターチニティーチヤイビン」と沖縄のアイデンティティーを訴えた。

 ウチナーグチに詳しい宮良教授は、対政府への姿勢などで立場が異なる両候補者が共にウチナーグチを活用する現状に、「世論全体でしまくとぅばに関心が向き始め、ウチナーグチの概念で有権者に効果的に訴え掛けることができるようになったのではないか」と分析する。

 さらに「ウチナーグチは沖縄の精神の豊かさを表している。これからの沖縄をつくるとき、ますます先祖から受け継いだ精神世界を表す言葉が使われるだろう」と解説した。 (’18知事選取材班)