県民、心折れなかったよ 翁長雄志知事に報告 妻・樹子さん


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玉城デニー氏の知事選当選後、インタビューに答える亡くなった翁長雄志知事の妻・翁長樹子氏=1日、那覇市大道

 沖縄県知事選から一夜明けた1日、故翁長雄志知事の妻樹子(みきこ)さんは「携帯電話利用料の4割減だとか、聞こえのいい『話くゎっちー』にも県民は流されなかった。多くの若者が集まったことは次につながる。勝ったり負けたりで疲れ果てながらも、頑張ってきたかいがあった」と、玉城デニーさんにバトンを受け継ぐ喜びを語った。

 9月22日に那覇市の新都心公園で開かれた玉城陣営の総決起集会で、ただ一度だけマイクを握った。「ウチナーンチュのマグマを吹き出させて命(ぬち)かじり頑張ろう。簡単には勝てない。それでも簡単には負けない」と訴えて支持者の気持ちを一つにした。

 喪に服していることもあり、選挙戦で表に出るつもりはなかった。だが相手陣営は自公の国会議員や運動員を大挙して送り込み、菅義偉官房長官や小泉進次郎衆院議員が何度も沖縄入りした。中央の異例のてこ入れに、「政府の権力を使って沖縄を押しつぶそうとする。ここまで来ると国家の暴力だ。翁長が必死に頑張ってきただけに見過ごせなかった」と意を決して表舞台に立った。

 知事選当日の夜は、那覇市大道の自宅に集まった子や孫たちとテレビの開票速報を見守った。玉城さんに当確が出ると「勝ったよ。県民の心は折れなかったよ」と仏前に手を合わせた。1日に当選報告で訪れた玉城さんに「あなたが思っている以上に大変だよ。でもどんなに苦しくても後ろには県民がいるから、ぶれずに真っすぐ進んで」とエールを送った。

 「那覇市議と県議時代は青春で、那覇市長は念願、そして県知事は私心は一切捨てて県民に尽くすと言っていた。人生としても知事任期としても短かったかもしれないが、後悔はなく本望だったはずだ」と翁長県政の3年9カ月を振り返った。