美ら海水族館オープンで入場者急増 沖縄観光の代名詞・海洋博公園


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多くの人々でにぎわう海洋博公園=3日

 海洋博公園の入園者数が累計1億人を突破した。開園時の76年度に約53万9千人だった入園者数は2017年度に500万1709人と過去最高となった。02年に沖縄美ら海水族館がオープンして以降は入園者数が急増。アジアからの航空路線の拡充やクルーズ船の寄港回数の増加により、近年は外国人観光客も多く足を運んでいる。沖縄観光のけん引役として、今後の発展も期待される。

 琉球大学国際地域創造学部の下地芳郎教授は「沖縄観光の発展と海洋博公園の入場者数は同じような形で推移してきた。(海洋博公園は)沖縄観光の代名詞のような施設だ」と強調する。かつて沖縄観光は沖縄戦の慰霊訪問などが中心となっていたが、75年の沖縄国際海洋博覧会をきっかけにリゾート観光に注目が集まるようになったという。

 2001年9月の米中枢同時テロの発生で一時は入場者数が落ち込んだが、世界屈指の規模を誇る沖縄美ら海水族館の開館で一気に回復した。世界規模の水族館の設置によって入園者も変化した。03年度は0・5%にとどまっていた海外客の割合は、17年度は31・9%まで伸びている。下地氏は「これだけの規模の水族館は世界でも少なく、中国内陸部から訪れた外国人客にとって海に触れられる貴重な機会となっている」と分析する。

 17年度の入園者約500万人のうち、沖縄美ら海水族館の入館者は約378万4千人と76%を占めている。海洋文化館の約12万人、熱帯ドリームセンターの約13万8千人と比較すると大きな開きがある。下地氏は「現在は水族館が混雑している状況にあり、満足度の低下につながりかねない。海洋博公園全体で入場者を受け入れる体制も必要になる」と語る。

 国営沖縄記念公園事務所の鈴木武彦所長は、今後は観光や地域振興、文化の拠点として、施設の刷新やイベントの充実に取り組む考えを示す。「老朽化の進んだ施設もある。(琉球王朝時代の建物を再現した)おきなわ郷土村のゾーンなどの改装に取り組みたい」と強調した。