国またぎ学び合い JICA研修員や琉大生ら 保健医療分野で合同講義 「持続可能な開発」議論


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初めて実現した琉球大とJICA沖縄、韓国の延世大学校の合同講義=9月27日、西原町の琉球大(中川廣江通信員)

 国際協力機構沖縄センター(JICA沖縄)が行う保健医療分野の研修に参加している海外からの研修員、韓国・延世大学校公衆衛生学部と琉球大学医学部保健学科の教員や学生ら16カ国の45人が学び合う合同講義が9月27日、西原町の同大で開かれた。国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に向けて、開発途上国の保健医療に従事する行政官や看護師、学生らが国際協力などについて質疑を行い、学びを重ねた。

 琉大とJICA沖縄は昨年「連携協力の推進に関する覚書」を締結した。琉大と延世大学校は大学間の国際交流協定を締結している。三者の活動に基づき今回の合同講義が実現した。琉大の小林潤教授のほか、同大医学部の客員教授で延世大学校公衆衛生学部のナム・ウンウ教授ら5人が講師を務めた。

 小林教授は「世界における学校保健の潮流」と題して学校を核とした健康増進、ナム教授は「世界におけるヘルシーシティーの潮流」と題して町づくりの構想について講話した。ペルー、ラオス、コンゴ民主共和国の母子保健プロジェクトの事例も紹介された。

 リベリア出身の研修員、ドゥオテ・デリ・シィエ・ダさんは「自国に海外からの専門家が派遣されるが、プロジェクトの持続性や地元の人材が育たないという課題がある」と意見を述べた。これに対してナム教授は「誰が主役かを考えて仕事をしなければいけない」と投げ掛けるなど、活発な意見交換がなされた。
 (中川廣江通信員)