古豪沖水 復活V 沖縄県秋季高校野球決勝


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 7日、沖縄市のコザしんきんスタジアムで行われた高校野球の第68回県秋季大会決勝は沖縄水産が8―1で興南を撃破した。強豪同士の対決に球場には大勢の観客が詰め掛け、先発した沖水の上原一帆、興南の宮城大弥の両エースの投げ合いを見守った。興南に先制された沖水は四回までに2―1と逆転。興南の四球や失策を逃さず、小技で走者を塁上に送るしぶとい打線で六回に4得点を挙げ、宮城をマウンドから降ろした。八回までにさらに2点を加え、8―1で勝利し、14年ぶり10回目の頂点に立った。沖水、興南の両チームは来春の全国選抜大会出場の参考資料となる九州大会(20~25日、熊本県)に出場する。

◆犠打絡め着実に加点

興南―沖水 沖水6回裏無死一、二塁、野選を誘う犠打を決める三木健正=7日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(古堅宗陽撮影)

 6本の犠打を最大限に生かした沖縄水産が、興南の絶対的エース・宮城大弥を六回でマウンドから降ろした。四球や失策での出塁を逃さず、犠打で確実に得点圏に進めた。少ない安打で得点につないで相手守備を揺さぶった。左腕エース上原一帆は被安打5、失点1で完投。沖縄尚学を破って19季ぶりの九州を決めた後も、「次は興南を倒す」と闘志を見せていたナインの言葉は有言実行となった。強豪の2校を連破し、14年ぶりに秋季を制した。

 三回に1点を先制されたが、その裏に金良涼介、川端琉一朗の安打に内野ゴロを絡めてすぐ同点に戻す。四回、先頭への四球で無死一塁。続く三木健正、平安常人の連続犠打で三塁に進めると、8番・瀬長宙が中越え二塁打で2―1と逆転した。好機で打てていなかった瀬長は「フライかと思ったが(球が)落ちる瞬間を見て、うれしかった」。

 興南を突き放した六回は、先頭への四球から始まった。5番の國吉吹が「しっかり決めた」犠打で失策を誘って走者一、二塁。6番・三木のこの日2本目の犠打が野選となり無死満塁に。その後は三回に同点にしたコンビの金良と川端が再びヒットを放ち、上原大那のバントも絡めて4点を挙げた。沖尚戦でも決勝スクイズを決めた三木。「バントはチームでも一番得意じゃなかった」ものの、夏以降重点的にチームで取り組んできた犠打の練習と、球威に押されないよう興南の宮城を事前にイメージして臨んだ姿勢が結果に表れた。

 「ここまでできると思わなかった」と上原忠監督はうれしい悲鳴だ。「復活した古豪というより、新たな沖縄水産として、来年に向けて1回目の甲子園を目指す」。伝統の「沖水」の名前を再び全国に刻むため、まずは九州へ選抜切符を取りに行く。
 (石井恭子)

<7日の結果>
▽決勝
沖縄水産 8―1 興南